第4話 コミュニ・ケーション

 ある日の事、光ちゃんが、誠に、感嘆しながら言った。

 「マコたん、変わったね」

 「そうかなあ?」

 誠は、みんなに、羨ましがられて、恥ずかしくなった。

 長方形の大きなテーブルに、光ちゃんや、綾香ちゃんや、悠作、そして、リサと、誠が、集まった。


 すると、誠の考えた、コミュニケーションについて、話が始まった。光ちゃんが、誠に、不思議な様子で言った。

 「マコたん、話し上手になるにはどうすればいいの?」

 リサは、光ちゃんの話を聞いて慌てた。


(聞きたいのは私の方だ)とばかりに、光ちゃんの席を、割り込んで、押しのけながら、誠の近くに行った。

 でも、可愛い綾香は静かに、そんな様子を遠くから、興味深く見ているだけだった。

 誠は、皆に、控えめに話し始めた。

 「相手に、挨拶や関心を寄せて、話す切掛けを、作るんだ、話が、始まったら、「うん、うん」と、言う頷きや、「そうなですね」「そうですね」、「~なんですね」、と言う「事実」の相槌と、「感情」についての相槌、例えば、「面白いね」「楽しいね」などの相槌を駆使して、相手が、聞いてもらえたと、 感じるくらい、相手の話を、じっくり聞くんだ……」

 誠は、核心に迫っていく……。


 「会話の目的は、相手の話に、共感する事だから、話を受け止めたら、時折、共感の言葉である、「分かる」「ほんと」「確かに」と、言って、相手の話に共感するんだ……


 誠は、少し戸惑いがあったが、話を続けた……。

 「共感できなければ、質問するんだけど、例えば、「それ、どうゆう事?」、「その後どうなったの?」「それ、どんな気持ちなの?」、「その話もっと聞かせて」、「それ、教えて」と、相手に、話をしてもらいながら、共感できる事を、探すといいんだ!」


 誠は、言葉に力をこめる。「共感できる事が、見つかったら共感の相槌である、「分かる」、「ホントね」、「確かに」を、  言うと良い、その後、自分が理解した事を、相手に伝える、「~は、嬉しいですね」、「~は、面白いですね」と、言う感じで理解した事と、感情を一緒に、伝えることですかね……そうね、もし、感情が、良く分からなかったら、単純に、相手の言ったことを、オーム返しすると、良いんじゃない……かなぁ……」


 悠作は、そこで、重要なポイントを、彼らに話す……。

 「大切なのは、話は、「こう言おう」と、考えるんじゃなくて、感じる事なんだ、相手の気持ちに注意を向けて、話を聞きながら、何かを感じたら、それを、表現するだけでいい…」


 リサが補足する。

 「相手に思いを伝えるには、何も、言葉だけでなく、感情を伝える為の擬音である『ああ~』、『おお~』『えぇ~』などがあって、そこに言葉を、それに、加える事によって、会話を、盛り上げ、実り合うものにするのよね……」

 「そうなんだ」

 光ちゃんは、驚いた。


 誠の掴んだ情報は、既に、誰かが、考えている事だった。

 誠は、「ウン」と、悠作の締めの話に耳をそばだてた……。

 悠作は、得意げに言った。

 「そうね、その相手の話に、自分の体験の似たような話をする「自己開示」を、すると、相手との間の距離が、ぐっと、縮まるんだけどね……」


 悠作は、細い指で頭を掻いた。

 「それは、確かに、聞くのも大事だけと、話す事も大切だ、確かな言葉で、自分の立場を守り、相手に、自分の考えや、思い伝えて、相手の知恵や力を、借りて、自分の人生を、より良いものにする為には、とっても、大切なんです」


 リサが、その点について、知っていることを言う……。

 「そう、そう、相手に、共感を求める言葉である、『でしょ、でしょ』を、言うと、相手が、それを、受け止めてくれて、満足感が得られるのよ……」

 悠作は、「そうだね」と、同意した。

 仲間たちは驚いた。

 「へぇー」


 悠作は、自分の持っている知識を、披露できて鼻高々だ。

 「凄い……」

 光ちゃんが言う…。

 「悠作は、傾聴の技術を持っていたんだね」

 「嫌々」

 悠作は照れていたが、仲間達は、悠作の知識に、目を大きく開けて「凄い、凄いぞ」と、驚く、ばかりだった……。

 誠は、その様子を見て思った。

 ……今みたいに、悠作の持っている知識を、もっと、仲間達と築く新しい世界の為に、使ってほしいな……

 仲間たちは、輝く未来を想像して、思わず、嬉しそうな微笑みがこぼれていた。


 だが、彼らは知らない、誠を主軸とする仲間達を、懲らしめようとする、猪熊とその仲間達の敵意が、満ちている事に……。

 綾香は、支援員の人達と協力して、今のような雰囲気を、発展・持続をさせる為には、どうすればいいのか? データを取っていた。

 誠を取り巻く状況は、段々、複雑化していった。

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