第272話 今年も、餅つき

お正月前の楽しみは、何と言っても、これ!

 嘘つき

あ! 間違えた! ごめん!

 餅つき

そう、うすと杵で、もちをついて作るのです。

ウソ、ちゃうで!

これぞ、大掃除を終えた御褒美、そして、正月の前祝。


養護施設という場所は、スケールメリットがあるのです。

各家庭で作るごはんを、なんせ大家一斉に作るわけです。

そりゃあんた、1人当たりの原材料は安くつきますって。

餅つきだって一緒だ。下手に市販品買うより餅つきです。

その方が、原材料費ははるかに安くつくことになります。


そらあんた、そうでしょうがぁ。

しかも、そんな銭金の問題だけでは終わらないよ。

この餅つきというのをみんなでやることで、

一種のお楽しみイベントにもなるわけです。

日本古来の文化ともいうべき餅つきの、実体験です。

いいじゃないですか。


町内会とか何とかならいろいろ世帯の方針もあろうけど、

この自由の森という養護施設では、そんな気遣い無用よ。

同じ釜の飯を食っている仲間じゃないですかぁ。でしょ。

水臭いことなんか言わないで、みんなで餅つきしましょ。

そして、来年を楽しく迎えましょうよ!

ってか?

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