第198話 汽車旅相談室1 ~年配の専務車掌さん

1983年。昭和58年の秋。

1000円のフリーきっぷを買い、彼は岡山県内を回った。


岡山県北の美作加茂駅から岡山駅まで、急行砂丘に乗車した。

グリーン券を買うような真似はしない。

それでも、グリーン車の車掌さんのところに行った。

あの日は暑かったから、冷房がまだかけられていたっけ。


「グリーン車には、立席でもグリーン料金がいるのでしょうか?」


彼がこの質問をしたのは、当時の鉄道雑誌というよりは旅行雑誌の影響。

種村直樹という鉄道紀行作家が主催する汽車旅相談室というコーナーの、

ある質問がきっかけ。

その列車の車掌長の腕章をつけた年配の車掌さんいわく、こう。


「グリーン車という車両を利用する以上、グリーン料金は要るよ」


普通車指定席の場合はどうかと尋ねると・・・?

「それは車両を利用するための料金じゃない。座席のための料金ね」

つまり、立っている以上は原則不要というわけだ。


あの頃は、こういう質問が雑誌を通して飛び交っていた。

だけど、きちんと現場で業務をされている方にとっては、あたりまえのこと。

それでも、いろいろ問題があった。

それらが、雑誌を通して全国に配信されていたってこと。


あの頃の特急や急行の車掌さんは、やさしさの中にも威厳があったなぁ。

夏用の白い上下の制服、本当に、カッコよかったよ。

あの服を着て国鉄の特急の車掌になりたかったな。

そんなことを思っていた、少年時代の思い出。

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