第174話 短大出て間もないネエチャン ≠ クソババア

彼は、意地で入り込んだ国立大学を、あっという間に卒業した。

そんな程度で苦労するアホどもなど知ったことではないと、

周囲のくだらない活動に現を抜かすアホどもを対手ともせず、

さっさと、大学を出て行った。そして、次なる道へと足を進めていた。


そんなある日、彼は、ふと思った。


あの頃、自分の親代わりと称する立場にいたのは、

20歳かそこらの女性。それこそ、 

 短期大学=短大 

を出て間もないネエチャンらやったな。

ということは、わしは・・・、

ユーチャーワリーケド(言っては悪いが)、

短大出て間もないネエチャンなんかに手をかけくさられよったんか。

あんな程度に、人の人生の大事な時期を分かったように・・・、

あとは、言わぬが花であろう。


その怒りは、確かに、彼の内心にたまっていたものであった。

それがマグマの如く噴出したのは、20代半ばになった頃。


いくらネエチャンどもと言っても、彼よりは年上だ。

事実として、最低でも6歳年上の女性が当時の担当していた。

彼女ら、今はともかくそのうちババアにこそなろうけど、

おっさんにもジジイにも、ならねえよな。

だったら、クソババアと言ってやってもいいんでないか?


しかしながら、そんな言葉を使う気にもならなかったという。

そりゃ、あの馬鹿ネエチャンが、とは言った。しつこいほど。

その割にはクソババアの言葉ひとつ、頭に浮かばなかったと。


かくして、30年程の時が過ぎてしまった。

ちょっと前に55歳になった彼は、気付いた。


そうか!

馬鹿ネエチャンの無能のとは言えたかもしれないが、

クソババアとは、彼女たちに対して言う気も起こらなかったわな。

ということは、

クソババアと言えるだけの値打ちなど、彼女らにはなかった。

ってことか。


ま、お互い不幸な出会いでしたとしか、言いようがないわな。

ってか・・・。

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