第138話 倉敷駅前のホテルから

2022年の8月16日。

京都では、五山の送り火が実施された。


彼はその日、倉敷駅前のホテルにいた。

ホテルの部屋から、彼は、京都に思いをはせた。


京都には、彼が中学生の頃お世話になった先輩がいた。

西陣織職人さんの長男で、岡山大学の経済学部に来ていた。

卒業後は京都市役所に勤めていたが、数年前に亡くなられたという。


その先輩の出身高校は、阪神の吉田義男氏の母校でもある。

その学校の修学旅行は、なんと倉敷だったという。

その倉敷から、彼は、京都の大文字に思いをはせた。

その先輩に出会ったのは1982年秋。

その40年後のある夏の夜は、ホテルの部屋で静かに過ぎていった。


先輩の思いは、確かに、後輩にひきつがれていますよ。

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