30 ダンジョン飯(九井諒子)

 ダンジョン飯/九井諒子/ハルタコミックス、全14巻



 発売当初、この本をこそ待っていたと膝を打ちました。本当に自分の好みなのです。

 今やもうアニメ化もされ、つい先ごろ完結もした、押しも押されもせぬ名作ですね。


 ダンジョンで全滅しかけ、装備も荷物もお金も失った主人公ライオスと仲間たちが、竜の腹の中に取り残された妹を助けに行く。と言う話。


 金もなければ道具もない一行はモンスターを食べながら下層を目指します。

 ダンジョン内の生態系やモンスターの生態の設定がとてもしっかりしていて、それをどう調理していくのかも含めて面白いです。


 パーティの面々の個性あふれる反応も、このギリギリの旅を楽しくしています。

 序盤はテンポよく話が進み、絵も見やすくてキャラクタは表情豊か。サクサクと読みすすめることができます。

 一方で重いところはとことん重く描かれています。それでもしっかり楽しめる物語ができているところに、九井諒子の確かな力量を感じられます。

 ダンジョンをめぐる物語は、大きく広がっていくのですが……。


 これほどの物語をしっかり展開し、しっかり収束させるというのはただならぬ実力を持っているのだなあとしみじみと思います。


 それにしても作者は本当にマンガがうまい!

 絵もそうなのですが、構成やストーリーも含めて、マンガというもののうまさを心底感じさせられます。


 同作者の短編集、ひきだしにテラリウムもあわせてオススメしたいです。

 ダンジョン飯、読むならぜひ全巻揃えてをオススメしたくなる作品です。



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