09 姑獲鳥の夏(京極夏彦)
姑獲鳥の夏/京極夏彦/講談社文庫、630ページ
「この世には不思議なことなど何もないのだよ」のフレーズが有名な本作。
舞台は終戦してほどなく。語り手で小説家の関口とオカルトチックな噂との出会いから始まる物語です。
さてこの作品と私が巡り会ったのは高校時代でした。身の回りで空前のミステリブームが起こり、当時の友人たちと貸し借りしあって色々読み漁った中に、京極夏彦の姑獲鳥の夏が入っていたのです。
色んな意味で衝撃を受けた本です。
本の分厚さも話題になりがちですが、シリーズの他の作品と比べると姑獲鳥の夏の頃はまだそれでも薄い方でしたね。
改めて読み返してみると、昔読んだ時より更に面白く感じました。
話の運び、複雑な構成と膨大な情報の量、それらの回収がとてもよく出来ていると思います。昔は長くてちょっとつらかった京極堂の薀蓄も含めて、楽しんで読みました。薀蓄もすんなり入ってくるようになったのは、自分の知識量が増えたからなのでしょうか。
敗戦後まだあちらこちらに傷跡の残る昭和の日本。それでもみなぎる活力。泥臭い夏の香り。胸をざわつかせる猟奇感。その雰囲気を濃厚に感じられる筆致に、京極夏彦のすごさを感じます。
ミステリというのはどうなのかしらと思うところもあるのですが、やはり良作だと思います。
この百鬼夜行シリーズ、私はいまだに追いかけているのですが、先日久しぶりに出た最新作の
またこの作品は志水アキのマンガ版も非常に良くて、小説が長くてつらいという方にはそちらの方をオススメしたいです。とても優れたコミカライズです。
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