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昨日書いた詩をさっき消した
いろいろ頭をひねったが
それ以上手を入れても救えそうになかった
詩はときどき中絶する
せっかく書いても人に見せられない詩もある
そういう詩を私は「隠し子」と呼んでいる
隠し子は座敷牢に置き去りにする
そしていつしか忘れてしまう
私だってすべての子を愛したいのだ
しかしどんな子が生まれるかはわからない
書いてしまった最初の行に
どんな行がつづくかは
私が決めることではない
詩は運命のように
第一行目でもう決まっている
そこで見切りがつけられないのは
私の優柔不断のせいだ
せめて雑念に惑わされぬよう
姿勢を整え 深呼吸する
それですばらしい詩が書けるわけではないが
詩の運命を受け入れる余裕は生まれる
私の運命はいつ決まったのだろう?
そんな風に自分を顧みることはない
「運命」という言葉を使いたがるのは他人ばかり
運命を生きるものはただ現在を生きるだけだ
詩は現在を生きる
私はそれを後から追いかける
どんなに追いかけても追いつけない
そんなかけっこを「詩作」と称し
私は毎日書きつづける
書けなくなる日まで
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