転生したので欲望に忠実に生きたら悪役令息扱いされて追放されたけど、追放先でも諦めずハーレムをリトライします。
サドガワイツキ
第1話 食べ物を粗末にするやつなんてなんぼぶちのめしてもいいですからね
――――丈の短いスカートがそこかしこで翻り、思わず下着が見えてしまいそうに……どころか実際チラチラとみえてしまっているので目のやりどころに困ってしまう。そう、パンチラですよパンチラ。
学園に続く道はブレザーに似たジャケットに、パンツスタイルもしくはスカートの制服姿の男子と女子の姿でいっぱいなのだ。
ルックスのレベルが高い美男美女の割合が多いが、特に女子がヤバい。“前世の日本”だったらアイドルグループにいそうなレベルの女子がゴロゴロと、当たり前のように歩いているのだ!!!!凄いぜ異世界!美少女万歳!!
この制服考えたデザイナーに五体投地で感謝をささげたいですね。白!ピンク!水色!白!白、…わぉ、黒!!ちょっとまてあの娘はいてな……?!いやきっと目の錯覚だな、うっ、ふぅ……。
「フフフ、ようこそ新天地、おいでませハーレム性活ッ!!ヤぁってやるぜ!!」
決意も新たに握りこぶしを握る俺、グレイブ・ランスピアは何を隠そう『転生者』というやつである。
生前は日本で会社員として馬車馬のように働いていたが、ブラック労働がたたってあっさりと死んでしまい気づいたらこうして前世の記憶と知識を持ったまま異世界へと転生していたのだ。
前世は真面目に生きていれば良いことあると信じて生きた結果が社畜過労死だったので、今度は思いっきり好きに生きてやろうとした結果が――――ご覧の有様だよ!!!!!
前に通っていた故郷の学園では女の子を口説きまくりハジけまくっていたら、またたくまに悪役令息扱いからの“ざまぁ”されて学園を追放されてしまった。
「頑張りましょうね、グレイブ様っ♡」
そんな俺の隣で拍手をしながらハートを飛ばしまくっているピンクの長髪をした小柄な美少女は俺の従者のラヴェル・ヴァリエール。色々あって苗字を持たない平民から俺の従者になった超級美少女で、その経緯もあっておはようから夜の生活まで俺に心身ともに尽くしまくってくれている。ちなみに苗字は俺が授けたんだけどピンク髪でツリ目でつるぺただったので俺の青春を捧げた最愛のピンク髪推しキャラから拝借した。ツンデレじゃなくてデレデレだけどね!
そんなラヴェルだけは俺の追放に同行して一緒についてきてくれたが……たかが追放如きでこの俺のハジケソウルを止められるはずがない。
全く懲りない悪びれない!!!!それがこの俺のチャームポイントなのである。憧れは止められねぇのだ。
「よし、いくぜラヴェル!」
「はいっ、イきましょうグレイブ様っ♡」
ラヴェル、なんか言葉のニュアンスが違わない?まぁいっか。
というわけで転入初日、ヤる……じゃなかったやる気満々、意気揚々と道を歩いていると、一際強く目を引く姿に目を奪われた。
金色の髪はサラサラで風に靡き、色白な肌に整った顔立ち。
俺の心の美少女力スカウターで見てみよう、ピピピピッ……1000、6000、10000を越えて……まだまだ上がる!!間違いない、S級美少女だぞ!!!
早速こんなとんでもない美少女に出会うなんてこいつは幸先がいいな、やっぱ俺って“持って”るなぁ!
……だが金髪美少女の様子がおかしい、とても悲しそうだ。
そしてよくよくみるとその美少女の前にはどこにでもいそうな平凡な見た目の男子が居る。マジモブ2000%ってくらいモブ顔の男子で、2人は何かを話している。……あっ、モブ男子が金髪ちゃんの手に持っていた何かをはたき落した!!!ちょ、おま!!!あいつ女の子になんてことするんだ!!!
美少女とか関係なく、女の子に暴力振るうのは最低だぞ!!
そして女の子の手から零れおちたそれ―――バスケットが地面に叩き付けられ、その中身が地面にぶちまけられた。
遠目にみてわかるのは色とりどりのおかずと、手の込んだサンドウィッチだった残骸。きっと作るのに手間と時間をかけたであろうおいしそうなお弁当が、見るも無残に地面に散らばっている。
さすがにその様子に周囲の学生もざわ……ざわ……と声をあげ、視線を向けはじめた。
この男女がこんな状況になっているのには何か事情があるのかもしれない。
―――でもそんなの関係ねぇ……!!!でもそんなの関係ねぇッッ!!!!!!!!!!
たとえどんな理由があったとしても―――食べ物を粗末にするやつを許すな、慈悲は無い!!!!
「この、馬鹿野郎ッッ!!!!!!」
俺は激しい怒りと穏やかな心のままにトゥ!ヘアー!トゥ!ヘアー!と高速で低空をスライド移動し、モブ顔男子の鳩尾にパンチをねじ込んだ。
「ごぼあァッ?!」
反応すら間に合わずに口から吐しゃ物を吐きだす男子。だがこの程度じゃ止まらない。
「――――食べ物を粗末にするんじゃないッ!!!!!!!!!農家の皆さんや食材に謝れバッカモーン!!」
そのまま背後に回り腰に手をまわし、思い切り仰け反りながらブリッジをするようにして―――モブ顔男子を脳天から地面に叩き付けてやる。ジャーマンスープレックス改め必殺、俺の必殺技ってやつだっ!!
「ぶいキュアッ――――」
豚のような、もしくは女児向けアニメ的な悲鳴が途中で書き消えたのはモブ顔男子が胸元まで地面にめり込んだからだ。
脳天から全身を突き抜けるダメージに、地面にブッ刺さったまま手足もつま先までまっすぐにピーンッ!と伸びているモブ男子。……フンッ、貧弱貧弱ゥ!情けないほどに弱いぞォーッ!
「知らなかったのか?お残しは許されない」
そう吐き捨てながら俺は両腕を離し、足を踏ん張り腹筋に力を入れてフンッ!という声と共に身体を起こした。
何があったかは知らないけれど食べ物に当たるんじゃない。まったく、感情を処理できん奴はゴミなんだぞ。
そして突然の乱入者に、S級金髪美少女ちゃんは困惑していたので、俺は安心させるように最高にいい笑顔で地面にちらばったお弁当を指さしながら笑って声をかけた。
「コレクッテモイイカナ」
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