「『カミさんがね』が口癖の天パ刑事に鬼詰めされました」ーその他短編あり

『むらさき』

「カミさんがね」が口癖の天パ刑事に鬼詰めされました

「ただすいません、最後に一ついいですか?うちのカミさんが男同士でポーカーなんて怪しいって言うんですよ」


 俺は天パの刑事に少しイライラしていた。


 俺は浮気した妻を巧妙に殺した作家。だが、その時は友人とポーカーをしていたというアリバイがある。そして、そのときの配達ピザのレシートもある。この糞天パ刑事に鬼詰めされてもこれだけ物的証拠がある。


「いや、あなたがポーカーをしていた友人の奥さんにお電話したら、気持ちよく教えてくださったんです」


 まさか...あのとき家の時計をすべてズラしていたのがバレたのか...でもあのとき家には誰もいなかったはずだ。それに時間をずらした時計もすべて電波時計で、自動で元に戻っているはずだ。ずらしたことも友人のピーターは全く気付いてなかった。バレていないはずだ。


「旦那がポーカーをしているのを怪しんで家の地下に隠しカメラを仕掛けてたんですよ、それにばっちり時間が映っていたんですよ」


「だから何だと言うんだ。その時間が間違っている可能性だってあるじゃないか」


 このだらしなくてちょっと抜けて見える中年の刑事はなにを言うんだ。俺にはあのピザ屋のレシートがある。このレシートは俺がピザ屋にいちゃもんを付けて何回か打たせた数枚のレシートを使って、上手く作ったものだ。アイツは腕時計をしていなかった。完璧な複製は警察にも見破れない。


「刑事なんてのは因果な商売でしてねぇ、つまらないことが頭にこびりついて離れないんですな。気になってそのピザ屋の配達人を調べてたらトンデモナイ子でね。なんでも時計をしなくても時間が分かるって特殊な子でね」


「は?」


「国の研究所で研究対象にもなっている子でね。あなたにレシートを打ったとき、ご友人の家の時計が40分ズレているって覚えていたんですよ」



 ナニソレ...

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