あつまれ おねしょたの森

ベンゼン環P

やばいはっぱ

 私の名前はユミ!

 ウラヤの村に住む13歳の女の子!

 でも、今は訳有って森を探索中。

 

「ユミ! 見て、ドングリだよ!」

 

 この子はキリ。ドングリではしゃぐなんてほんと可愛い♡

 11歳の彼は私のおし

 鴛って言うのは、あなたたちの世界で言うと旦那さんかな。

 そして私はキリのおし。奥さんってこと!

 おしおしとで鴛鴦おし

 私たちは新婚夫婦なの。


 私たちが今いる森は、普通の人が入ったら迷っちゃうんだって。

 でも、鳩って呼ばれる特別な人達は森でも迷わないだそう。

 で、今の私は鳩になるための試験中。合格条件はウラヤの村へ帰り着くこと。

 それにしても何も手がかりの無い状態で、一体どうやって帰れって言うんだろう???

 

 仕方ないから森を闇雲に歩いてたんだけど、ウラヤとは違う村に着いちゃった。

 そこで出会ったのがこのキリ。

 あまりにも可愛い子だから村から連れ出して来ちゃった(・ω<)

 

 キリは私と違ってこの森をすっごく怖がる。

 だから手を繋いであげないといけないんだ♪

 こうやって指と指を絡ませ合うの。私は鴛鴦おし繋ぎって呼んでるんだけどね。

 つまり、この森の中でキリは私なしでは生きられない。

 私の思うがままってこと(^p^)


「ねえユミ。このドングリって食べられる?」

「うーん、それはコナラだね。食べられなくはないけど、しばらく水に浸さないとダメかな」

 ウラヤの村にいる私の先生から聞いた言葉をキリに伝える。

 キリには色々教えてあげないとね。

「そっか……」

 そういうとキリは腰につけていたがま口にコナラの実を詰めた。彼は森で見つけた物をなんでもそこに入れる。がま口はお父さんからもらった大事な物なんだって。


 しばらくそのまま森を歩いていると、甘い匂いがつんと鼻を刺す。

 その場に足を止めて辺りを見渡すと、木から伸びる青々とした葉っぱが見えた。匂いの正体はこれらしい。

 この葉っぱについて先生から教わってはいないけど、私はそれが何かすぐに分かった。

 試験の前夜、同じ匂いのお茶を飲んでたんだ。

 そして私はひらめいた。


「ねえ、キリ。甘いもの好き?」

「甘いもの? あんまり食べたことないかな……」

 無理もないか。キリのお母さんはキリに冷たいみたい。

「じゃあ、今日はとっても甘いもの飲ませてあげる!」

「ほんとに!? 楽しみ!」

 キリの笑顔を見た私は、空いた方の手でその葉っぱを何枚かもぎ取った。それをキリに渡す。

 受け取ったキリはがま口に葉っぱを入れる。もう流れるような一連の所作だった。


 ――――


「今日も辿り着けなかったね。ウラヤ……」

「そうだね……。また明日もがんばろっか!」

 一日の終わり。

 火を囲いながら、キリとはこんな会話を幾度も繰り返してきた。

 その火の上には水の入った鍋が吊るされている。その鍋の中で昼間拾った葉っぱを煮出す。

 

 今、私たちがいるのはイチカっていう洞穴。森の探索の拠点にしてる場所。

 昼間は森を歩いて、暗くなる前にここへ帰ってくる。

 雨風も凌げるし、キリとひっついて寝れば寒くもない。


「あ、いい匂い……」

「でしょ?」

 私はそう言うと、煮立ってきた鍋の中身を、竹で出来た湯呑に移す。

「はいどうぞ♡」

 なみなみ注がれたそれをキリに渡してあげる。

「ユミはいいの?」

「うん。キリ、たっぷり飲んでね♡」

「ありがとう!」

 キリは湯呑を呷ろうとするが、すぐに顔をしかめる。熱かったらしい。

「もー、しょうがないなぁ」

 私はキリから湯呑を受け取り、ふーふーしてあげる。しばらくそれを繰り返すと、竹越しに伝わる熱が少しづつ収まっていった。

「ほら、もう大丈夫でしょ?」

 再びキリに手渡してあげる。

「あ、飲めそう」

 キリはちびちびとお茶を飲み始めた。

「あまーい……」

 キリはとても幸せそうな顔をする。

「僕、こんなに甘いの初めて! ユミ、ありがとう!」

「キリが喜んでくれて良かった(*^-^)」

 でも、ほんとのお楽しみはこれからだ。


「あれ……、なんか暑い」

 やっぱり。私はほくそ笑む。

 私が試験前夜にお茶を飲んだ時と同じような反応をしている。

「ユミ……、僕、変だよぉ」

 ああ、可愛い。可愛すぎる(^p^)

「キリ、おいで」

 私は両腕をキリに向かって広げる。

「ユミぃいいいいいいいいい!」

 キリは私の胸に飛び込んできた。

「ユミ! 好き、好き、大好き! 僕をめちゃくちゃにして!」

 思っていた以上の反応かもしれない。私がお茶を飲んだ時の相手はお母さんだった。あの日のことはほとんど覚えてないけど、こんな感じだったのかな?

「キリ。めちゃくちゃにしてあ・げ・る♡」

「ユミぃ♡」

 私の腕の中でキリは蕩けた表情を浮かべた。

 夜は長い。キリには色々教えてあげないとね。


――――


 こんな私とキリのいちゃらぶストーリーの本編「鳩の縛め」はここからhttps://kakuyomu.jp/works/16817330668475992132

 ちょうど一章が終わったところで切りもいいからぜひ覗いてみて欲しいな。


 忙しい人には一通りのシナリオが分かる要約動画もあるよ。

(第一話 : https://youtube.com/shorts/YsOznUMcsbM)

 すでに読んでくれた人のおさらいにもどうぞ。


 あと、作中で私が歌う主題歌 (https://youtube.com/shorts/Q3CRRrR8Puk)と、きらきらうさぎさんに描いてもらったイラストもあるよ♪

 5話 https://kakuyomu.jp/users/benzenringp/news/16817330669093960648

 6話 https://kakuyomu.jp/users/benzenringp/news/16818023212963972494


 じゃあ、私はキリの相手に忙しいから!!

 また本編で会おうね(*>∀<)ノ))

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