冒頭で絶対にしてはいけないこと

 の前に、まず冒頭では何でしょうか。我々が初めて会った人とすることと同じです。

 そうです、自己紹介です。

 ファンタジーの場合「説明」をしなければなりません。


・主人公は何歳くらいなのか

・明るい性格なのか、引っ込み思案なのか

・世界は落ち着いているのか、破滅しているのか。


 細かいところでは食べ物はどうしているのか、通貨など、価値の概念はどうなっているのか。


 これらがいわゆる私たちと同じ世界であればほとんど飛ばしてもいいのですが、ここでは「魔女」というファンタジー要素が入っており、それを説明しなければなりません。

 しかも通常魔女、と聞くと我々は何を思い浮かぶでしょうか。


・魔女狩り

・悪い魔女がお姫様を殺そうとする


 など、どこか恐ろしい、悪役のイメージが多いのではないでしょうか。

 

 これをそうではない、ハリーポッターのようないわゆる普通の日常に受け入れられている存在であり、むしろ人々から憧れの眼差しでみられることもある、という設定をしっかり視聴者に伝えなければなりません。


 とはいえ、何も考えずにこれを説明しようとするとこうなります。


<ひっぺがし(ダメな例)>

 冒頭のテロップ

 ——時は19●●年、魔女というものは生活に溶け込み、あるものは空を飛び、あるものは薬を調合、そしてあるものは占いなどをして人々を助けてきた。そして13歳になったとき、魔女は修行のため……——


 文章でいきなり全部ことばで説明されると、こちらは疲れてしまいます。そこでプロはどのようにこのいちばん最初にこえるべき「説明」を視聴者が飽きないように伝えているのでしょうか。


<正解>

 主人公らしき女の子が寝そべっている。

 急に起き出して、


「お母さん、今日に決めた!」

「私、晴れの日に出発したいの!」


<解説>

 説明してないんですよね汗

 冒頭は何よりインパクトが大事。のんびりした風景に突然、アクションを起こして「今日に決めた!」なんて言われたら、観ている方はつい「何のこと?」と思ってしまいますよね。そうやってひきつけつつ、さりげなく状況説明をいれていくのです。


 ではどのようにさりげなく入れているでしょうか。  


・お母さんがフラスコで紫の液体で実験している。

→なにやらあやしげな事をやっている。でも悪そうな感じはしない、緊迫している様子もない。


・やさしいおばあさんが会いに来る。

→魔女は決して恐れられていたり、嫌われていたりはしておらず、日常に溶け込んでいる。


 こうやってさりげない日常や主人公の動きを通じて、徐々にこの世界の事を説明しています。さらにさりげない説明は続きます


 お客のおばあちゃんが聞きます。

おばあちゃん「でかけるって魔女の修行のこと?」

母「ええ、古いしきたりなんです。魔女は13歳になったら独り立ちするって」


 ここで重要なポイントがあります。「知識のないキャラクターの」存在です。もしおばあちゃんが魔女だったらどうでしょう。


魔女のおばあちゃん「でかけるって魔女の修行のこと?」


 なんて聞いたら、「なんでそんなことも知らないのか? 自分もやったでしょうに」と違和感が残ります。ここで、このことについて知識のないキャラクターを置く事で、説明をする、ということが自然に行えるのです。これはおばあちゃんへの説明をしながら、さりげなく視聴者に説明しているのです。


<肉付け>

 その後お父さんに言います。


「わたし今夜発つことにしたの!」


 その後、この場をよりアクティブにするために、お父さんがいいことを言ってくれています。それは何だったでしょうか。

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