第222話 過去編 ゴル フォン ハーデス


冥王に命じられ、ルイと先代国王を呼びに向ったセバスは、まず最初に、先代国王ゴルフォンハーデスの下に向かった


「すぅ~はぁ~…コンコン…ゴル様、セバスです」


セバスは、ゴルが居る部屋の前まで行き、一度深呼吸をした後、部屋のドアをノックした


「(っ!セバスじゃと?いったいなんの用じゃ?…嫌な予感がするのぅ…ここは無視じゃな…)・・・・・・・・」


セバスの声を聞いたゴルは、嫌な予感を感じ取り、読んでいた本を机に静かに置き、息を殺して、セバスが居なくなるのを待った


「・・・・・・・・はぁ~~…ゴル様!居るのは分かっているのです!さっさと部屋に入る許可を出して下さい!じゃないと!奥様に言って無理矢理ドアを開けてもらいますよ!!」


ゴルの返事を待っていたセバスは、呆れた様子で深い溜め息を吐いた後、大声でゴルを脅しながら、部屋に入る許可を求めた


「っ~!セ、セバス!入って良いぞ!!じゃからエリーゼには何も言うな!!」


セバスの言葉を聞いたゴルは、自身の妻が来た時の事を想像し、顔色を悪くさせながら、慌てて部屋に入る許可を出した


「では、失礼します!」


ゴルに部屋に入る許可を貰ったセバスは、爽やかな笑顔を浮かべながら、ドアを開け部屋に入った


「…セバス、お主な、エリーゼを出すのは、反則じゃろう」


爽やかな笑顔で部屋に入って来たセバスを見たゴルは、不機嫌そうにセバスを睨み付けながら、エリーゼの事を出したセバスを責めた


「仕方ないじゃないですか、奥様の名前を出さないと、ゴル様は、部屋に入る許可を絶対に出さなかったでしょう?」


ゴルに責められたセバスは、笑顔を浮かべたまま、言い訳を話した


「ちっ…それで、今日はいったいなんの用じゃ?」


セバスの言い訳を聞いたゴルは、不機嫌そうに舌打ちをした後、嫌そうに自身の下に来た理由を聞いた


「…エルフ達が襲われております」


ゴルの下に来た理由を聞かれたセバスは、笑顔を止め、真剣な表情でエルフ達が襲われている事を伝えた


「っ!なんじゃと!!っ~!セバス!儂は今からエルフ達の下に向かう!!」


セバスの話しを聞いたゴルは、驚いた表情を浮かべ、勢い良く椅子から立ち上がり、怒りを覚え、拳を力強く握り締め、急いで部屋を出て行こうとし始めた


「ちょ!ゴル様!駄目ですよ!!ゴル様には!ルイ様と一緒に行っていただくんですから!!」


セバスは、部屋を出て行こうとしているゴルを、慌てて腕を掴んで止め、エルフ達の下には、ルイと共に行ってもらう事を伝えた


「…成る程のぅ、ルイに戦を経験させるつもりじゃな?」


セバスに腕を掴んで止められたゴルは、セバスの話を聞き、セバスが考えている目的を見抜き、不機嫌そうに睨みながら質問した


「っ…はい」


ゴルに不機嫌そうに睨み付けられたセバスは、冷や汗を流しながら、掴んでいる腕を離した


「(…ちっ、ゾルの奴め、ルイをさっさと成長させて、王位を渡すつもりじゃな)…仕方ないのぅ、ならさっさとルイを迎えに行くぞ!」


ゴルは、冥王の目的に気付き、内心冥王に苛立ちを抱いた後、呆れた表情を浮かべ、ルイを迎えに向った


「は、はい!(可笑しいですね、ゴル様の事ですから、陛下を怒鳴りに行くと思ったんですが…)」


セバスは、慌てて部屋を出て行こうとするゴルの跡を追いながら、ゴルの反応に疑問を抱いていた



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