第217話 カイロンの罪
~リント~
「これが、魔王様が言っていていた、冥王様の【死(デス)】か…恐ろしい力だな」
セバスとハンスが、冥王達の下へ向かった後、その場に留まっていたリントは、信じられないという表情で、砂漠に変わっていく大地を見ていた
「…リント殿、貴殿は今、冥王様がこれを行なったと言った様に聞こえたが、それは事実か?」
リントが話した声を聞いたルーファは、リントに近づき、砂漠に変わっていく大地を指差しながら、リントが言ったことが事実か聞いた
「聞いていたのか…ああ、事実だ」
ルーファに事実か聞かれたリントは、砂漠に変わっていく大地から目を離し、ルーファの方を向き、真剣な表情で答えた
「そんな…何故冥王様はこの様な事を…」
リントの真剣な表情を見たルーファは、リントの話が事実だと分かり、ショックを受けた表情を浮かべた後、悲しい表情で砂漠に変わっていく大地を見た
「(これは何も言えんな…エルフ達に取っては、冥王様は神に等しい方のはず…そんな方がエルフ達が住む森を滅ぼしたなんて、信じたくないだろ)…えっと…その…」
悲しい表情をしいているルーファを見たリントは、ルーファが悲しんでいる理由を理解し、なんと声をかければ良いか分からず、言葉を詰まらせながら、ルーファに声を掛けようとしていた
「(ヤバい!なんて声をかければいいんだ!?この場合は、冥王様を悪く言えばいいのか?だが、エルフに取って冥王様は神に等しい方、そんな方の悪口を言ったら…っ~駄目だ!!俺が恨まれる!!あーもう!何で冥王様はこんな事を起こしたんだ…よ…ん?そういえばセバスの奴、カイロンとかいう長老に怒っていたな、あれはつまり、カイロンって長老が、林王様と冥王様が戦う理由を作ったって事だよな?)…なぁ、セバスが気絶させたカイロンって奴は、いったい何をしでかしたんだ?」
ルーファに声を掛けようとしていたリントは、なんと声をかければ良いか分からず、焦りながら、ルーファに声を掛ける内容を考えていたが、セバスがカイロンを気絶させた事を思い出し、カイロンが冥王と林王が戦う理由を作ったと気付き、ルーファに何をしでかしたのか質問した
「…カイロン長老ですか?確か…」
リントに質問されたルーファは、砂漠に変わっていく大地から目を離し、カイロンが起こした事を思い出そうと考え始めた
「っ!そういうことですか!?!あの時!カイロン長老がセイ様に無礼な振る舞いをしたから!!冥王様と林王様が戦う事に!!」
ルーファは、カイロンが起こした事を思い出し、冥王と林王が戦う事になった理由に気付き、気絶しているカイロンを怒りの籠った目で睨み付けた
「…母上、今の話は本当ですか?」
ルーファが、カイロンを怒りの籠った目で睨み付けていると、ルーファの声を聞いていたハントが、真剣な表情でルーファの前まで来て質問した
「ええ、ほぼ確実にあの件が原因でしょうね」
ハントに質問されたルーファは、カイロンを睨み付けたまま答えた
「っ~!死ね!!この老害が!!お前のせいで!!里が無くなった!!このプライドだけの塵が!!」
ルーファの答えを聞いたハントは、気絶しているカイロンに近づき、怒気を帯びた声を出しながら、気絶しているカイロンを足蹴りにし始めた
「ぐっ!なっ、なっんだ!おぇ!こら!ぐぅ!ハント!ぐは!この愚か者!がっ!」
ハントが気絶しているカイロンに向かって足蹴りをし始めると、気絶していたカイロンは、蹴られた痛みから目を覚まし、自身を足蹴りするハントを見付け、足蹴りさせながら、ハントに怒り始めた
「っ!そうね!!こんな塵は死んだ方が良いわね!!」
ルーファは、カイロンがハントに向かって言った、愚か者という言葉に反応して、カイロンに近づき、ハントと共にカイロンを足蹴りし始めた
「ぐはっ!ルーファ!ぐっ!お前まで!がっ!」
ルーファにも足蹴りされ始めたカイロンは、蹴られる理由が分からず、困惑した表情でルーファを見た
「・・・・・・・・・・・・」
「がっ!やめ!ごっ!ルーファ!ぐぇ!」
カイロンに、困惑した表情で見られていたルーファは、ただ冷たい目でカイロンを見ながら、無言で足蹴りを続けた
「(怖っ!人代わりすぎだろ…)」
ハントとルーファが、カイロンに足蹴りをし続けるのを見ていたリントは、ハントとルーファの表情を見て、少し引いた様子で2人を見ていた
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