第205話 レイの才能


~セイ~


「…成る程、それは大変だったね…なら俺がレイを連れて行くから、シスターは朝ご飯でも食べて来なよ」


レイを連れている理由を聞いたセイは、寝ているレイの頭を優しく撫でながら、マーサを見て、朝ご飯を食べに行く様伝えた


「あら、いいの?」


セイの言葉を聞いたマーサは、少し嬉しそうにしながら、レイを預けても良いか聞いた


「うん、久しぶりにゆったり食事してきなよ」


セイは、レイの頭を撫でながら、笑顔で食事に行くよう伝えた


「…なら、頼むわね」


マーサは、少し申し訳なさそうにしながら、寝ているレイを、起こさないように、優しくセイに渡した


「じゃぁ俺とレイは音楽室に居るから」


寝ているレイを受け取ったセイは、寝ているレイを優しく抱っこしながら、音楽室に向かった


「…大丈夫かしら?もしレイが泣いたら、セイはちゃんとあやせるのかしら?」


マーサは、音楽室に向かうセイを、見えなくなるまで、心配そうに見ていた



「よし、着いた…レイ、まだ起きるなよ…」


音楽室の前に着いたセイは、レイが寝ているのを確認してから、レイを起こさないよう、静かにドアを開けた


「よし、起きなかったな…それじゃ…あのソファーを動かすか」


静かに音楽室に入ったセイは、レイが起きて無い事を確認した後、部屋の中を見渡し、壁際に在るソファーを見つけ、ソファーを動かす為に近づいて行った


「…【魔装】…ふん!」


ソファーに近づいたセイは、【魔装】を使い、両手でレイを抱っこしていたのを、片手に変え、空いた片手でソファーを持ち上げた


ソファーを持ち上げたセイは、レイを起こさないよう、ゆっくり移動し、部屋の中央にあるピアノの横に下ろした


「……ふぅ~これで起きても泣き叫ばないだろ」


ソファを下ろしたセイは、レイを起こさないよう、慎重にレイをソファーに寝かせた


レイをソファーに寝かせたセイは、レイを起こさないよう、静かに演奏の準備を済ませた


「さて、やるか…」


ピアノの準備を済ませたセイは、ピアノの椅子に座り、鍵盤を優しく触りながら、演奏をし始めた



「あ~あぅ~あぁー!」


暫くして、セイが、前日練習していた、ショパン バラード ト短調 op.23を弾いていると、ピアノの音で起きたレイは、目を輝かせながら、セイを見ていた


「ん?…レイ!起きたのか!」


ピアノを集中して弾いていたセイは、横から聞こえたレイの声に気づき、ピアノを中断して、目を輝かせているレイを見た


「あぅ~!あ~!あ~!」


セイが、ピアノを中断させると、レイは泣きそうな表情で、セイを見ながらソファーを叩いた


「分かった分かった、直ぐに弾くから、そんな顔で俺を見るのは止めてくれ」


レイの、泣きそうな表情を見たセイは、困った表情をしながら、慌ててピアノを弾き始めた


「あう~♪あ~♪うぁ~♪」


セイが慌ててピアノを弾き始めると、レイは曲の音程に合わせながら、歌うように声を出した


「…嘘だろ、まだ0歳だぞ」


レイの歌うような声を聞いたセイは、ピアノを弾きながら、驚いた表情でレイを見た


「あぅ~♪あぅ~♪あ~♪」


セイが驚いた表情でレイを見ている間も、レイは楽しそうに声を出していた


セイが弾く曲に合わせた、レイの歌うような声は、レイが疲れて止めるまで、1時間近く続いた





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