第188話 11人の長老



「あの~セイ様」


カイロンを連れたハントは、セイ達の下に戻り、恐る恐るセイに声を掛けた


「ん?何だ?」


ハントが離れている間、アルビル達から、エルフの家の詳しい説明を聞いていたセイは、ハントの方に振り返り返事をした



「こんな事を頼むのは、心苦しいのですが、長老達が、セイ様に会いたいと言っていまして…出来れば会って頂いてもよろしいでしょう?」


ハントは申し訳なさそうに、セイにお願いした


「(…嫌な予感がする、絶対まともな長老じゃないだろ)はぁ~…いいぞ、長老達に会いに行こう」


セイは、ハントの頼みに、内心嫌な予感を感じながら、承諾した


「ありがとうございます!」


セイの返事を聞いたハントは、頭を下げ、感謝を伝えた


「…アルビル、ちょっと来てくれ」


頭を上げたハントは、アルビルの方を向き、手招きをした


「なんですかハント隊長」


呼ばれたアルビルは、ハントに近づいた


「…アルビル、悪いが母上が戻って来たら、私とセイ様は、長老達に呼ばれたから、長老達の下に向かったと、伝えてくれ」


「…分かりました」


ハントは、真剣な表情を浮かべながら、小声でアルビルに頼み、アルビルも真剣な表情を浮かべ、小声で返事をした



「では、こちらです」


「ああ」


アルビルに頼み事をしたハントは、セイの前まで行き、案内し始めた


セイは、ハントの案内に付いて行った



「…それで、長老達は、どんな奴らなんだ?」


セイは、アルビル達が見えなくなると、前を歩くハントを見ながら質問した


「っ!それが…その…一言で言うなら、老害ですかね」


セイの質問に、ハントは体をビクッとさせた後、言いづらそうに答えた


「成る程…(老害ね…これは、嫌な予感が的中したな)」


ハントの言葉に、セイは、自身が感じた、嫌な予感が当たったと分かり、不機嫌な表情になった


「っ!もし!長老達が、セイ様を怒らせる様な事をした場合は、出来れば長老達の命だけで、ご容赦下さい!」


セイの不機嫌な表情を見たハントは、慌ててセイの方を向き、頭を下げ懇願した


「…う~ん、分かった」


ハントの懇願を聞いたセイは、少し考えた後、返事をした


「本当ですか!ふぅ~よかった~」


セイの返事を聞いたハントは、喜び、胸を撫で下ろした


「では、長老達が待っている広場に向かいましょう」


胸を撫で下ろしたハントは、案内を再開し、長老達が待つ、里の奥にある、開けた広場に向かい始めた


不安が無くなったハントは、広場に着く間、長老達の愚痴を、セイに話し続けた


嬉しそうに、愚痴を言い続けるハントを、広場に着く間、セイは、憐れんだ目で見ていた



「おっと、ここからが広場になります…セイ様が前をお歩き下さい」


愚痴を言っていたハントは、広場の前で止まり、セイに前を歩く様に伝えた


「(ようやくハントの愚痴も終わりだな)分かった」


返事をしたセイは、ハントの前を歩き始めた



広場の中に入ったセイが、広場の中を進むと、広場の中央に11人エルフが居るのが見えてきた


「…ハント、あの11人が長老か?」


「はい…」


セイが、長老達を見ながら、ハントに聞くと、ハントは無表情で長老達を見ながら答えた


「?…そうか、よし行くぞ」


ハントの表情に、引っ掛かりを覚えたセイだが、余り気に留めず、長老達の下へ向かった


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


ハントは、返事をしずに、無言で長老達見ながら、セイについて行った









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