第179話 終焉の一族



セイが隠し部屋を出た後、サクアは急いで冥王が居る部屋に向かった


「冥王様!これを!」


部屋の前に着くなり、サクアはノックもせずドアを開け、冥王の下へ向かった


「ん?何じゃ?そんな急いで…」


サクアの慌て様に、冥王は驚きつつ、サクアが渡してきた日記を受け取った



「この日記の最後を読んで下さい!」


「最後じゃ…なっ!これは!セイか!」


冥王が、日記を開き最後のページを読もうとした時、ちょうどセイが庭で魔法を使った


「「こんな魔力…有り得ない…」」


部屋に居た魔力を感知出来る、アティアとサーチェは、セイが使った魔力を感じ取り、その場で倒れ込んだ


「「母様!」」「アティア!サーチェ!」「「叔母様!」」


ガイラ、アルカ、アナベル、ヒサカ、アルフェスの5人は、倒れ込んだ2人の下へ駆け寄った



「ぐっ流石はセイ様ですが、出来れば先に言って欲しかったですよ」


サクアも魔力を感知してしまい、歯を食いしばって、耐えていた



「大変じゃのぅ…さて、一応理由を聞きに行くかのぅ」


アティア、サーチェ、サクアの3人を尻目に、冥王はセイの下に向かった



「「「「あの~私達は…はぁ~」」」」


部屋に残された貴族達は、どうすればいいか分からず、ただ見ている事しか出来なかった




「セイ」


庭に出た冥王は、魔剣を仕舞っているセイに声を掛けた


「ん?冥王様か」


声を掛けられたセイは、後ろに振り返った



「何故いきなり、あんな強力な魔法を使ったんじゃ?」


「…その日記の最後を読めば分かるよ」


冥王に理由を聞かれたセイは、冥王が持っている日記を指差した


「サクアの奴も言っていたが、この日記に何が書かれておるん…っ!有り得ぬ!」


日記を開き、最後の文書を読んだ冥王は、驚き、怒りの余り、全身から魔力が溢れ始めた



冥王から溢れた魔力は、草花を枯れさせ、空気を腐らせ始めた


「くっ!【風斬】!冥王様!落ち着いて!」


「っ!」


冥王の魔力を感じ取ったセイは、素早く冥王から離れ、魔法を使って冥王を正気に戻した



「すまんセイ、つい怒りで魔力を出してしまった」


正気に戻った冥王は、直ぐ様、魔力を抑え込み、セイに謝った



「はぁ~勘弁してよ、その魔力に対抗するには俺も本気出さなきゃいけないんだから」


セイはため息を吐きながら、冥王の下へ近づいて行った



「すまんすまん、以後気を付ける…それにしても、まさか生きておったのか」


冥王は日記の文書を触りながら、レイが生まれる前、セイがまだ冥王の城に居た時の事を思い出していた






その日、セイは朝から図書室でハーデスの歴史の資料を読んでいた


「へぇ~こんな事もあったんだ」


セイは資料を読みながら、先祖達がどの様にハーデス王国を作っていたかを勉強していた



「ん?これ…終焉の一族?」



セイが読んでいた資料には、終焉の一族と呼ばれる一族が、ハーデスの逆鱗に触れ、関わった者達全員が、一族郎党皆殺しになったと書かれていた


「…少し気になるな」


セイが今まで読んだ資料には、反逆により一族郎党皆殺しや、敵国の王家を一族郎党皆殺しにしたなど、一族郎党皆殺しにした理由と経緯がしっかり記されていたが、終焉の一族だけは、ハーデスの逆鱗としか書かれておらず、セイは気になり終焉の一族の事を調べ始めた




「…狂ってる…何だこの一族…」


終焉の一族の事を、図書室に有る本や資料で調べ上げたセイは、かつて終焉の一族が何をしたか、その結果何が起きたかを知った


「有り得ねぇだろ…自分達の子供を産ませる為に他種族を拉致、子供を生んた他種族を殺して一族で食べる…拉致、監禁、レ◯プ、そして人食…っ!これって…」


セイが資料を読み進めると、ハーデスが何故、終焉の一族を滅ぼしたか書かれていた


「っ~~~!」


資料を読んだセイは、内容に怒りを抱き、全身から魔力が漏れ出し始めた



「セイ!どうしたんじゃ!?」


セイの魔力を感知した冥王が、直ぐに図書室までやって来た





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る