第127話 国境検問所


ルージュから地図を借りたセイは、ギルドを出てから、食料を買いつつ、街の外へ向かった


門番に身分証を見せ、外に出たセイは、【風足】を使い、空に上がると、トーカス王国がある南に向かって、走り出した


門の前にはいた人達は、いきなり空に上がり、凄い勢いで移動し始めたセイを、信じられない者を見た顔で見ていた


空を移動しているセイは…


(…う~ん、【魔足】を使えば、早く移動出来るけど、これって旅になるのか?)


(旅って、もっと楽しむものじゃないの?)


(旅は街を観光とかして、その街を楽しむものでしょ!)


(でも、早くしなきゃ、レイに会えないしなぁ~)


セイは1人、空を移動しながら、旅について考えていた


(よし!トーカスに行く、国境検問所からは、【魔装】を使いながら、道を走って行こう)


セイは2時間掛け、国境の傍まで、空を移動した


国境検問所の前には、商人やハンター達が、列を作っており、セイはその最後尾に降りた


「っと、ここが最後尾だな」


「うわ!お前何者だ!どうやって空から降りてきた!」


いきなり空から降りてきたセイを、並んでいたハンター達が取り囲んだ


「…あ~怪しい者じゃない、ただ【魔足】を使って、空を移動していただけだ」


「…【魔足】?魔法の1種か!」


「(人類しかいないから、【魔技】を知ってる奴がいないのか)…まぁ、簡単に言えば魔法の1種だ」


「…そうか、悪かったな、そんな魔法があるとは知らなかった」


セイを取り囲んだハンター達は、無言で頷き合い、ゆっくりと警戒を解いた


「俺は名は、ガイト、このパーティーのリーダーをしている…こいつらは、俺のパーティーメンバーの…」


「魔法師のソウカです」


「剣士のミーシャだ」


「シーフのロストです」


「俺の名は、セイ、よろしくな」


「ああ、よろしく!…それにしても空を移動出来るなんて凄いな!」


「まぁ、かなり魔力を使うから、大変だけどな」


「それでも、空を移動出来れば、色々と便利だろ?」


「便利だが、俺はほとんど移動にしか使ってないな」


「そうなのか?魔物との戦いで使ったりしないのか?」


「空を飛ぶ魔物なら使うが、それ以外の魔物には使わないな」


「どうしてだ?」


「空を飛ぶんじゃなくて、走ってるだけだからだ」


「どういう事だ?」


「…成る程、地面にいるのに、態々空を走る必要がないのか」


「ミーシャだったか?ほぼ正解だ、魔法師のソウカなら、分かるじゃないか?」


「…魔力を無駄にするからですか?」


「その通りだ、かなりの魔力を使ってまで、地面にいる魔物を倒す必要は無いからな」


「へぇ~やっぱり魔法師は、魔力を気にするんだな」


「当たり前です!魔法師は、魔力を回復させるのに時間が掛かるんです!ちゃんと前にも説明しましたよ!それなのに無駄に魔法を使う指示ばかり出して、いざって時に使えなかったらどうするんですか!」


「わっ悪かったよ、次からは、気おつけるから許してくれ」


「いつもソウカに頼りきってる、ガイトの自業自得だな」


「そうだね、ガイトはソウカに感謝するべき」


「お前らだって、よくソウカの魔法に頼るくせに!」


「ミーシャとロストは、最低限しか頼みませんよ、ガイトみたいに、日常的に頼む人とは違うんです」


「うっ、…すみませんでした」


「まぁ、ソウカは魔法師の中だと、魔力が少ないから、魔力は出来るだけ節約した方がいいな」


「っ!セイさんは、私の魔力量が分かるんですか?」


「分かるぞ、ソウカだと、どれだけ少なく使っても、20回ぐらいが限界だろ?」


「凄い!その通りです!」


「なぁ、魔力が分かるのは、そんなに凄い事なのか?」


「当たり前ですよ!私も魔法師の知り合いから聞いただけですが、相手の魔力が分かるって事は、魔法師として超一流の証でもあるんです!」


「「「…超一流」」」


「そんな驚いた顔で見るなよ」


「いや、普通に驚くだろ!何で超一流の魔法師がここに居るだよ!」


「そんなの、トーカス王国に、用があるからに決まってるだろ」


「ガイト、そんな当たり前の事を聞かないでよ、馬鹿だと思われるわよ」


「いや、ガイトが馬鹿なのは、ソウカの話で既にバレてる」


「お前ら!好き勝手言いやがって!」


「「ガイトが怒った逃げろ♪」」


ガイトは逃げる2人を追いかけ始めた






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