第124話 黒い獣の特徴


セイが空から訓練場に向かうと、既にグリモアと魔獣から人に戻った男が、訓練場の真ん中で、準備をしていた


訓練場の端には、グロリア、マーサ、サラの3人が準備を見守っていた


セイはマーサ達の場所を確認して、横に降りた


「到着っと」


「「「っ!セイ!」」様!」


「それで準備はどれくらい進んだ?」


「もうすぐ終わるわ…それより、何で空から降りて来るのよ」


「尖塔にいたから、訓練場なら空からの方が早いと思ってね」


「そうじゃな、尖塔からなら、空を走った方が早のぅ」


「「…冥王様まで」」


「それで、セナ様はどうしたんだい?」


「母様?…そうか、母様の用って、これを伝える為だったんだ」


「なんだい、聞いてないのかい?」


「セイに説教したせいで、伝えるのを忘れたんじゃよ」


「セイ、お説教されたの?」


「レイを【魔足】で散歩に連れてったことを、未だに怒ってるみたい」


「あれはセイが悪いわ!」


「シスターも、怒ってるみたいだね」


「当たり前よ!散歩に連れて行くって言うから、庭に行くかと思ったら、いきなり空に行ったんだもの!」


「あっはっはっは、セイ様は、まだマシだよ、坊なんて産まれて1週間で、ルイ坊と空の散歩に行ったんだから」


「「…冥王様」」


「違うんじゃ!あれはルイに、空の景色を見せたかっただけなんじゃ!」


「あれ?さっきは俺に、1歳になってからって、言ったよね?」


「「冥王様」」「坊」


「それは、儂が妻に、1歳になってからなら、空の散歩を許可されたからじゃ!」


「はぁ、確かに王妃様は、そう言ってたけどね、普通は子供と空の散歩なんてしないんだよ」


「そうかのぅ?儂も幼い頃に、父に空の散歩に、連れてってもらったぞ」


「…そういえばそうだったね」


「じゃろ?それに父も、祖父に連れてってもらったと、言っておったしのぅ」


「はぁ、困った一族だよ」


「「(グロリアさんの言う通り、本当に困った一族ね)」」


「冥王様、セイ様、マーサ様、準備が終わりました」


セイ達の所に、魔獣から人に戻った男が走って来て、準備の完了を伝えた


「…そうか、なら俺と冥王様は、聖魔法の準備をするから、シスターを逃がす役目は、サラにお願いするよ」


「うむ、分かった」


「「分かったわ」よ」


 マーサとサラの2人は、グリモアの指示で、魔獣の前まで行き、セイと冥王は、2人の少し後ろで、何時でも魔法が撃てる様に準備をした


「薬は塗り終えておる、後は、マーサ様が魔法を使うだけじゃ」


「なら、サラは黒い煙が出なくなったら、シスターを連れて、グロリアさんの所に行ってくれ」


「「分かったわ!」よ!」


「じゃあ、始めようか」


「スゥ~ハァ~【治癒】!」


「「「「・・・・・・・・」」」」


マーサの魔法により、女性の魔獣からは、前回より早く黒い煙が出始めた


「前回より早いのぅ」


「〈魔法薬〉のおかげだね」


「そうじゃな、既に煙が球体になり始めておる」


「サラ!そろそろだぞ!」


「分かった!」


女性の魔獣から、黒い煙が出なくなり、サラは【魔装】を使い、素早くマーサを連れ、その場を離れた


パキッ「シャァァァァァ!」


「「「…蛇?」」」


黒い煙の球体からは、蛇が出てきた


「まぁ、蛇でも虎でも、どうでもいいけど!消えろ!【聖剣一聖】」


「そうじゃな!【聖火】!」


球体から出てきた黒い蛇は、セイと冥王に、魔法を浴びせ続けられ、何も出来ずに消滅した


「…消滅するまでの時間も、前と同じぐらいだったね」


「そうじゃな、これなら儂1人で、40分ぐらいで消滅させれるのぅ」


「でも、今回は蛇だったのが、少し気になるね」


「前回は虎じゃったし、何か理由でもあるのかのぅ?」


「多分ですけど、私の牙は虎の特徴だったんじゃ、ないでしょうか?」


セイと冥王が話をしている間に、避難していた、マーサ、サラ、グロリア、魔獣から人に戻った男が、周りに集まっていた


「…ならこの女性は、蛇の特徴でも持ってたの?」


「妻は、魔獣になった際に、目が蛇と同じでした」


「そうか、なら魔獣を見れば、どの生き物が出てくるかは、予想が立つのぅ」


「そうだね、予想が立てば、少しは楽になるね」


「そうじゃな…それでマーサの魔力は、前回より少なくすんだか?」


「前回の3分の1ぐらいしか、使ってないです」


「それだと、1日で何人くらいに、魔法を使えそう?」


「う~ん、50人は直せそうね」


「なら、それで計画を練らないとね」


「それなら、儂が考えとく、それよりセイには、魔獣の王に、会いに行ってもらわなくてはのぅ」


「…あっ!忘れてた!」





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