第62話 代金と旅立ち



懸賞金を貰ったセイは、その日の夜に近い内に旅に出ることを、みんなに伝えた


マイカやサーシャは驚いたが、マーサとサラは驚かずに、いつ旅に出るのかとセイに聞いていた


それから、何日かけ旅の準備をし始めた

馬車を2台買い、1台は荷物を積む為に使い、もう1台は全員が座れる馬車を買った


セバスは、自分もついて行きますと言っていたが、冥王ハデスにセイ達が旅に出るのなら、戻ってこいと命令され、嫌だとごね続けたが、シスイが迎えに来て引きずられて帰って行った


「セイ!連絡きたよ!」


「本当!なら皆に知らせて!」


「もう知らせた!」


「なら玄関に集合で!」


「分かった!」


「(ふぅ~、約10年近く住んだから少し名残惜しいが、今日でおさらばだな)」


「よし!行くか!」


セイは、玄関に向かい全員と合流した


「じゃ、行こっか」


「ええ、楽しみね」


「行ってきます」


「「「「「行ってきます」」」」」


セイは皆が乗る馬車の御者をやり、マイカが荷物の馬車の御者をすることになった


セイ達は、ハンターギルドに着くまでの間、王都の街並みを眺め続けた


「俺だけでハンターギルドに入るよ」


「えっ私も入るよ、挨拶ぐらいしたいから」


「あれ?昨日の内に挨拶はして来たんじゃないのか?」


「出発前によるからハンターギルドは挨拶して来てないの」


「なら一緒に行くか」


「うん」


セイとサラは、ハンターギルドに入って行った


「マスター!来たぞ!命が惜しければ代金をよこせ!」


「強盗か!お前は普通に入れねぇのか!」


「いや、最初は臭くて大きい声を出して、次の時も臭くて大きい声を出して、その次も少し臭くて大きい声を出して、入るたび大きい声を出してたから、なんか普通に入るのが変な感じがして」


「ふふ、セイらしい」


「はぁ、なんで強い魔法師はクセがあるんだ」


「さぁ?魔素の関係じゃね、知らんけど」


「まあいい、それでレッドベアの素材はどれだけ売る?」


「毛皮は欲しいから、コート10着ぐらいの量以外は売るよ」


「分かった、肉と爪、牙はどうする?」


「変異種なら剣の材料にいいから牙2本と爪2本は残して、後は全部売るよ」


「分かった、それだと…金貨2654枚だな」


「そんなに高く売れるのか?」


「変異種は全体的に通常より高いんだよ、それに大きいしな」


「そうか、ならそれで」


「おう、分かった」


ギルドマスターは裏に行き、金貨の入った袋を持ってきた


「ほら、これが代金だ」


「数えるの面倒だな」


「しかないよ、セイ」


「はぁ、数えるか」


セイとサラは、時間をかけ金貨を全て数えきった


「ぁ゙ぁ゙~、疲れた、2度と金貨を数えたくない!」


「セイ、おじさんみたい、でも私もしばらくは嫌かな」


「普通はこんなに数えないんだよ」


「くそっ強いのも罪だな」


「なによそれ」


「だってさ、強くなければ普通は金貨50枚ぐらいしか数えないだろ」


「まあそうだけどさ」


「お前ら、贅沢なこと言ってんな」


「あれ?ジョン生きてたのか、あれから全く見なかったから死んだのかと」


「なんでだよ!死ぬ理由がねぇよ!」


「いや復讐をしようとして、魔獣の王に挑んだかなって」


「挑んでないわ!」


「なんだよ、挑まなかったの?」


「あの後マスターに話を聞かされて、俺には復讐できないって思ってな」


「そうか、まあいいんじゃないか、復讐に捕らわれると心が持たないからな」


「まあな、だからマスターには感謝してるよ、あの話のおかげで、少しましになったからな」


「そうか、なら頑張れよ俺は遠くから見守ってやるから」


「いや近くで見守れよ!」


「無理だな、俺達これからは旅に出るから」


「っそうかのか?」


「うん、世界を旅するのがセイの夢なの」


「…そうか、なら頑張れよ」


「こいつ等なら強いし大丈夫だろ」


「それもそうだな」


「まあやり過ぎないようにしろよ」


「分かってるよ、じゃぁまたな!」


「またね!」


セイとサラは、ハンターギルドを出て行き、そのまま馬車に乗り王都を出て行った


「さぁ、まずはウルさんに会いに行こ!」


「「うん!」」


「楽しみだわ」


「「はい!」」






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