第59話 団長の後悔



セイが帰った後、騎士団長達は動くことができなかった


「…総騎士長、あの子には、あなた達を責める権利があります」


「なんだと!騎士を侮辱していい権利があるわけ無いだろ!」


「あるのです!あの子には!」


「どういうことですか、ギルドマスター」


「はぁ、あの子の名前はセイ」


「あの子が!」


「「「「知っているのか!」」」」


「団長、まさかあのセイですか?」


「いや…それは…」


「カーチ、儂にも教えてくれるか?」


「はぁ~、私も少し知っているだけですよ」


「それでも、何故あそこまで騎士を嫌う理由が知りたいのだ」


「あの子は前に雲を吹き飛ばした魔法師です」


「いいのですか、団長」


「仕方ないだろ、俺はその日、陛下の下に向かいその時に知りました」


「何を知ったのだ」


「あの子が、元王妃セナ様の御子息であることを」


「「「「「っ!嘘だろ…」」」」」


「セナ様は側妃達のせいで6年も御子息に会えなかったらしい」


「だが、それなら王家に向かい入れれば、よかったではないか」


「それは…詳しくは聞いてませんが、セナ様が嫌がったらしくて」


「それなら陛下が命令するば」


「いや、無理ですよ」


「ギルドマスター、お主は知っているのか?」


「ええ、ある程度は」


「では、何故無理なのだ?陛下の命令は誰も逆らえぬだろ」


「さっきセイが言っていたではありませんか、セナ様は冥王様の一族ですよ、つまりセナ様の願いは冥王様の願いなのです、誰も逆らえません」


「しかしな、陛下の御子息でもあるのだろ」


「そうですが、セイは陛下を心から嫌っております」


「何故だ?側妃達の件なら陛下には罪は無いだろ」


「いえ、陛下の罪はセナ様を苦しめ傷つけたことです」


「陛下は王妃様を傷つけてなどおらぬだろ」


「いえ、苦しめ、悲しませ、心に深い傷をつけたのです」


「だが、陛下も傷ついていたぞ」


「セイは、陛下の苦しみは自業自得だと、自身の失態が招いたことだと」


「納得はできんが、それで何故騎士を嫌う」


「セイの中ではマイカ殿が、騎士として1番なのでしょう、誰よりも母を護り側にいつ続けた」


「だが、マイカは民を護る騎士ではないだろ」


「多分ですが、マイカ殿はセナ様を護ると誓っていたのでしょう、そして誓いを護り続けている」


「儂らも騎士として民を護る誓いを護っているぞ」


「なるほど…だから無能だと」


「カーチ、分かったのか?」


「多分ですが、セイ様は民を護る誓いを護れてないと、判断したのでしょう」


「何故だ?」


「王妃は、国王と共に国も為に働く存在です、故に王妃を護ることは、民を護ることに繋がることです」


「それは分かるが、王族を護るのは近衛騎士の仕事であろう」


「しかし、騎士団長達はどの王子が王にふさわしいか揉めていた時期があります」


「「「「それは…」」」」


「悪いことではないでしょう、しかし王子達や側妃達のしたことを考えれば、王にふさわしいと言っていた者は、騎士として失格なのでしょう」


「だが、王子達は騎士団長達に裏の顔を一切見せなかったのだぞ」


「それでは駄目ですよ」


「「「「「誰だ!」」」」」


「これは失礼、私はセバスと申します」


「「「「魔獣か…」」」」


「セバス…セイに剣を教えたセバスか!」


「そうですよ、私は冥王様の命でセナ様をお護りしています」


「「「「「っ、冥王様の…」」」」」


「先程、裏の顔を見せなかったと言いましたが、それで暗君や暴君が生まれたらどうするのですか?」


「「「「「それは…」」」」」


「暗君や暴君から、民を護れるのですか?」


「「「「・・・・・・・・」」」」


「それが答えですよ、暴君から民を護れず暗君から国を護れない、だから騎士は良き主君を探さなくてはならない、そして騎士は主君が間違えた時、命を賭けて止めなくてはならない、貴方がたはそれができていない」


「「「「・・・・・・・・」」」」


「セイ様は、あなた達でもいなくなれば困る民がいるから、生かしているのですよ、これからは誓いが護れる騎士になりなさい、でなければいずれ、この国は滅ぶでしょう」


「「「「「っ……」」」」」


セバスは言いたいことを言い帰って行った


「…納得だな、何も言い返せん」


「「「「はい…」」」」


「俺は騎士団長として、失格なのがよく分かった」


「それは俺達もだ」


「「ああ」」


「セイ様は、分かっていたのだな、王妃を護れず、王子達の裏も知らなかった儂達は騎士ではないと」


「「「「はい…」」」」


「これから騎士団はどうするのですか?」


「鍛え直しじゃな!騎士とは何かを見つけるために、よいな!」


「「「「はっ!」」」」


「では城に戻り、全ての騎士に今回のことを伝え、皆で1からやり直すぞ!」


「「「「はっ!」」」」


騎士団は城に戻り、門には国家魔法師団とギルドマスターが残った


「それで、国家魔法師団はどうするので?」


「私達も、鍛え直しですよ」


「そうだな、先程の話は騎士だけでなく、私達国家魔法師団にも言える話だからな」


「そうですか、頑張ってください」


「ああ、よし全員戻るぞ!」


「「「「はっ!」」」」


国家魔法師団も城に戻り、1人ギルドマスターは


「あれ?ということはこの氷どうすんだ?・・・・えっ!」






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