第25話 冥王の歴史と憤怒



冥王は王妃と国王を連れ応対室に入り、王妃と向かい合う形で座った


「さてどこから話したものかの」


「その前に冥王様、私の護衛とメイドを呼んでもよろしいですか」


「その者達は信用できるのか?」


「はい誰よりも」


「ならセバスに迎えに行かせよう、セバス!」


「はい冥王様」


「セナの護衛とメイドを連れてまいれ」


「はっ!セナ様その者の名前を教えていただけますか?」


「えっ?あっマイカとサーシャです」


「マイカ殿とサーシャ殿ですね、すぐに連れてまいります、さてそこの宰相と騎士ついてきなさい」


「いえ私は国王の護衛を…」


「冥王様がいるのです、護衛など無意味!」


「えっちょ」


セバスは扉の前にいた、宰相と近衛騎士団長を引きずり2人共呼びに行った


それからすぐ2人を連れセバス達が戻ってきた


「「王妃様!大丈夫ですか!」」


「えぇ大丈夫よ、冥王様は私を脅かす気がないみたいなの」


「当たり前じゃ!」


「それで冥王様は先程の話しの続きをお願いしてもよろしいですか?」


「まずは何から話そうかの」


「では何故セバス様は先程私に対し、様をつけたのですか?」


「っセナ様!私のことは呼び捨てで、お願いします!」


「ですが、セバス様は冥王様の腹心にお見えになります、それに我が家に伝わるアイテムの事も、何故知っておられるのか」


「うむ、まずはそこからは始めるかの、お主が持つアイテムは儂が今は亡き息子に渡した物じゃ」


「冥王様の息子とは?」


「お主は魔獣の王の歴史を知っておるか?」


「私が知っているのは、遥か昔魔獣の祖と戦った魔獣達の王としか、知りません」


「ならば魔物と魔獣の差は知らぬか?」


「はい知りません」 


「そうか、それも忘れられたか」


「国王、お前も知らぬのか?」


「私が知るのは魔獣の王と各国が手を組み、魔獣の祖と戦ったこと、そして人々と魔獣と魔物が戦ったこと、そしてこのままでは国が滅ぶとし、協定を結んだ事です」


「ならば魔獣と魔物の差を教えよう、セナには知る権利がある」


「是非お願いします」



そこから冥王は魔獣の歴史を話し始めた



「魔獣とは魔獣の祖によって人から魔の者に変えられたものを言う、そして魔物とは動物が魔の物に変えられた姿じゃ」

 

「っ…それは真のことなのですか?魔獣の祖にそのような力があったとは聞いておりません」


「まぁ消された歴史じゃからの」


「では冥王様は魔獣の祖に変えられたと?」


「儂は少し違う、セバス達は変えられた者じゃ」


「冥王とセバス様の違いがあるのですか?」


「ある!魔獣の王とその他の魔獣では圧倒的違いが」


「その違いとは、なんですか?」


「魔獣の祖の血を浴びた者と呪いを受けた者の違いじゃ」


「魔獣の祖の血を浴びた?」


「そう魔獣の王達は、1人を除いて皆魔獣の祖に傷を付けた者達じゃ」


「1人を除いて?その方違うのですか?」


「違うがまぁ今そやつの話は関係ないことじゃ、儂はかつて人間であった時、魔獣の祖に挑み傷を付けたそれ故に魔獣となり今も生きておる」


「では人間だった頃に子供がいたと?」


「そうじゃ、儂は元ハーデス王国の国王をしていた」


「何故国王が魔獣の祖に、挑んだのですか?」


「儂は…魔獣の祖に国が襲われた時、息子と民を亡命させるため、時間稼ぎをしようとしていた、だか!魔獣の祖は嘲笑うかのように、余の息子と民を襲った!故に魔獣の祖に命を賭け挑んだ、結果魔獣になった!」



冥王の憤怒の魔力が城を揺らし、近くにいた国王と宰相は腰を抜かし近衛騎士団長は膝をついたセバスがセナとマイカ、サーシャを魔力で守り陰で3人には何事もなかった


「冥王様!怒りが漏れてます!」


「っすまんなつい怒りで魔力を出してしもうた、少し休憩にしよう」



そうして国王達が、立上り城の騒ぎを抑えるのに1時間もかかった






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