アイデアNo.020 奴隷:あらすじ

 知識とは悪魔の果実だ。

 多くを知る事は必ずしも幸せに直結しない。むしろ、知らなければ幸せでいられた。そんな事もある。

 

 私は奴隷だ。

 物心ついた時には既に奴隷だった。

 親の顔は知らない。きっと親も奴隷だったのだろう。

 だから奴隷である事を不幸に思った事はない。


 あの時までは。

 

 その日、初めて外の世界を見た。

 もちろん外に出たのが初めてという事ではない。採掘作業で太陽の下には毎日出ている。

 

 そういう事ではなく、初めて街を見たのだ。

 そこには人が沢山いた。

 私と同じくらいの年齢の女の子が綺麗な服を着て笑っていた。


 ショックだった。

 そんな世界がある事が。

 そんな生き方がある事に。


 しかし、知ったからといってどうしようもない。知っても変わらないのだ。ただ、自分の境遇を呪う事しか出来ない。

 

 けれど唐突に機会が訪れる。

 私の乗る馬車が事故を起こし横転したのだ。


 私は走った。

 当てもなく走った。

 奴隷から逃げる、逃げられる、最初で最後のチャンス。

 

 そして、一軒の納屋で少女と出会う。

 街で見た女の子も綺麗だったが、彼女はもっと綺麗だった。一目で育ちの違いが分かる程に。

 

 もうだめだ。

 逃走した奴隷の末路程悲しいものはない。

 

 いつかは捕まるかもしれないと覚悟していたけれど、こんなに早くそれが訪れるなんて。

 私は、そう諦めた。


 けれど、彼女は通報しなかった。

 それ所か彼女は私に言うのだ。


「お友達になりましょう?」




▽▼▽▼▽▼▽



 これも長編として使いました。

 執筆ニ年目くらいに電撃大賞へ送ったんですよね。一次選考落選でしたけど😭


 ちなみにこれは百合ではなく、純粋な友情物語として書きました。とはいえ、百合百合している場面はありましたけど。お風呂とかで(笑)


 いま書いたら、あの頃よりは面白くできるとは思いますが……新人賞では良くて二次選考落選レベルが限界かなー。理由は明確。この設定で書いても、わたしでは売れる面白さにならないから。


 不遇だった少女が初めて他者に癒され、それまで考えたこともない生きるという命題に立ち向かってゆく……というお話でした。


 この頃はまだ自分の面白いが世間にとっても面白いはずだと錯覚していた時期ですね。


 どうやらこれは売れる面白さではないらしいですよ?

 少なくとも十年前くらいの電撃大賞においては。

 十年経てば求められるものも変わりますから現在はわかりませんけれど。



 WEB小説としては、百合ならニーズに合っていそう。


 奴隷設定はどうなんでしょう?

 無双とか転移転生とかには奴隷獣耳少女がよく出てきますけど、奴隷少女が主人公っていうのはWeb小説ではあまり見ない気がします。

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