推理作家マニアの奇妙な事件簿① 長久手殺人事件

鷹山トシキ

第1話 長久手市へ

 犠牲者7人

 芦田里英は、派遣社員として働いていたが、上司からのパワーハラスメントに苦しんでいた。仕事のプレッシャーと精神的な負担が重なり、ついに派遣切りの対象になってしまった。


 彼女は悔しさや絶望感を抱えながら、新たな時間を持つことができるようになった。そんな中、アガサ・クリスティーの作品に魅了されるようになった。


 部屋にこもり、手に取った『そして誰もいなくなった』や『オリエント急行の殺人』などの作品を熱心に読み込む。アガサ・クリスティーの作品は、リアルな世界から逃れる手段として彼女にとって心の拠り所となっていた。


 登場人物たちが織り成す推理や謎解きのプロセスに没頭し、時折本の中の世界に引き込まれるような体験をしていた。ストーリーの中で犯人の正体を推理し、事件の真相に迫る喜びや興奮が彼女を救いの一時的な安らぎへと導いていた。


 アガサ・クリスティーの作品に没頭することで、芦田里英は現実の厳しさから一時的に離れ、新たな気持ちで未来を見つめる勇気を取り戻していった。

 

 田舎にあるスタイルズ荘の年老いた資産家エミリー・イングルソープがストリキニーネで毒殺されて発見される。第一次世界大戦で戦ったアーサー・ヘイスティングズは、負傷して帰国してこのスタイルズ荘に滞在しており、再会した友人のエルキュール・ポアロに助けを求める。スタイルズ荘には、最近エミリーと結婚した年下の夫アルフレッド・イングルソープ、前夫の連れ子ジョンとロレンス、ジョンの妻メアリー、彼ら家族の亡くなった友人の娘シンシア、エミリーのコンパニオンだったエヴリン・ハワードなどがいる。


 ポアロは、エミリーの前夫の遺言により、彼女の死後はジョンがスタイルズ荘を相続することを知る。しかし、彼女の現金資産は毎年更新される彼女の遺言に従って分配されるのであった。存在する最新の遺言ではアルフレッドが相続することになっていた。事件当日、エミリーはジョンかアルフレッドと思しき人物と口論するのを聞かれていた。その直後に彼女は新しい遺書を作成したらしいが、誰もその証拠を見つけることができない。アルフレッドは事件の日の夜の早めに屋敷を出て、村に一泊した。一方、エミリーは夕食をほとんど食べず、書類ケースを持って早々に自室に引きこもった。彼女の遺体が発見された時、ケースは無理やり開けられた状態だった。毒はいつ、どのように盛られたのか、誰も説明できない。


 捜査担当のジャップ警部は、妻の死から最も大きな利益を得るアルフレッドを第一容疑者と考える。ポアロは、アルフレッドの行動が疑わしいと指摘する。アルフレッドは当夜の行動を明かすのを拒み、村でストリキニーネを購入したのは自分ではないと答える。ジャップはアルフレッドを逮捕しようとするが、ポアロはアルフレッドが毒を購入したはずがないこと、購入時の署名が彼の筆跡でないことを証明し、アルフレッドの逮捕を思いとどまらせる。すると次の容疑者は、エミリーの死で利益を得てアリバイがないジョンである。ジャップはすぐにジョンを逮捕する。毒薬購入時の署名はジョンの筆跡であり、毒薬の入った小瓶が彼の部屋で見つかり、アルフレッドと似た付け髭と鼻眼鏡が屋敷で発見されたのである。


 しかしポアロがジョンの容疑を晴らす。ポアロは、真犯人がアルフレッド・イングルソープであり、彼のいとこエヴリン・ハワードが手伝っていたことを明らかにする。二人は敵対するふりをしながら実は恋愛関係にあった。二人はエミリーの常備薬である睡眠薬に臭化物を加え、最終的に致死量にした。二人は、アルフレッドが逮捕されるような偽の証拠を残し、裁判になってから無罪を証明するつもりでいた。イギリスの法律では、一度無罪になると同じ犯罪で二度と裁かれることはないからである。エヴリンはジョンの筆跡を偽造していた。


 ポアロは、ジャップがアルフレッドを逮捕するのを阻止したのは、アルフレッドが逮捕されたがっていることに気づいたからであると説明する。ヘイスティングズの偶然の発言により、ポアロはエミリーの部屋でアルフレッドのエミリーに対する殺意を記した手紙を発見する。殺人のあった日の午後、エミリーが苦悩していたのは、切手を探していた時にアルフレッドの机の中からこの手紙を見つけたからだった。エミリーはその手紙を自分の書類ケースにしまい、それに気づいたアルフレッドは彼女の死後に書類ケースをこじ開けて手紙を取り戻し、見つからないように部屋の別の場所に隠していたのだった。


 アガサ・クリスティーの『スタイルズ荘の怪事件』を読んでいた芦田里英は面白いことを考えた。これから向かう愛知県長久手市のペンションで……ムフフ。チャットGPTの力を借りることにした。

 

 次の事件で使用するモチーフについては、次のような要素を含むものを考えることができます:


1. **年老いた資産家**:事件の中心となる被害者やキーパーソンとして、年齢や社会的地位が高い人物を設定します。

2. **家族関係**:被害者や容疑者、関係者同士の複雑な家族関係や結婚関係を組み込みます。例えば、再婚や連れ子、親族の登場などが含まれます。

3. **相続と遺言**:相続に関する法的な問題や遺言の内容が事件の発端となる要素として登場します。遺産や財産を巡る争いがストーリーを推進します。

4. **毒殺**:前提となる殺人手段として、毒を使用する手法が選ばれます。毒殺事件の解決がストーリーの中心になります。

5. **捜査と逮捕**:主要な登場人物の中に捜査官や刑事が含まれ、容疑者の逮捕や事件解決の過程が描かれます。

6. **裏切りや隠し事**:登場人物の中に裏切りや秘密を抱えた人物が登場し、事件の真相が明らかになる過程で重要な役割を果たします。

7. **証拠と推理**:事件の解決に向けて、証拠の発見や推理がストーリーの展開を支えます。真犯人が明らかになる過程が読者を引き込みます。


 2023年3月4日(土)

 芦田里英は列車の窓から外を眺めていた。長久手市に向かう列車の中で、午後5時の風景が広がっていた。


 窓の外には、夕方の柔らかな光が建物や木々に映り込んでいる。列車が進むにつれて、街並みが徐々に変わっていく。古い街並みから新しいビル群へと移り変わり、都会的な雰囲気が漂っている。


 街路には人々が歩いており、仕事や買い物の帰り道の慌ただしい様子が窓越しに伝わってくる。時折、車窓から見える風景が切り取られ、そこには公園や小さな商店街、住宅地が広がっている。


 夕方の空は青みがかった薄いオレンジ色に染まり、日が沈むにつれて街は徐々に明かりを灯し始める。街灯や店舗の看板が点滅し、街全体が幻想的な雰囲気に包まれている。


 芦田里英は窓辺に立ち、長久手市への旅路を楽しんでいる。街の夕暮れの美しさと、人々の営みが混ざり合う光景が、彼女の心を穏やかにする。

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