春、鬱鬱

岸田春

第1話 疎外感

時刻は19:30を回ろうとしていた。

「こんにちはー」

カルトみたいな声色でさっそうと教台に向かう意識高そうな女性、山田さん。どうやら自分で一人会社を立ち上げたすごい人らしい。目が怖い。目つきが鋭い。トイレに行かせてくれなそう。

おもむろに荷解きをして講義は始まった。言っていることはもっともなことで、努力を知り、苦労を知り、現実を知っている大人ならではのコンテンツであるから勉強にはなった。が、いろんな生き方があるなー、、そんな感想しか出てこなかった。

ふと隣を見ると溌溂とした女の子が座っていた。後ろにはイケおじみたいなやつが座ってるし、グループワークでも全然話は弾まない。なんでそんなことするん。気使ってでも話せや。とか考えていたらおじと女の子は最終的にめっちゃ仲良くなってた。インスタ交換してた、将来のこと話し合ったりしちゃってた。自分はトークうまくないし愛想もよくない、おまけに引き出しも少ないから話しづらいと感じるのはわかるよ、、でもさ、初対面だよ?もうちょっと優しくしようぜ。それだけ全力で学びに来てるのか、ただの相性の問題なのかはわかんないけれど、どっちにしても取り残されてる感じが半端なかった。毎日こんな疎外感だらけだ。どうやったら疎外から抜けられるだろうか、、

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