うちの兄貴と徒然夜話

かとりせんこ。

第1話 睦月

 兄貴がうちにやってきたのは、ばあちゃんの葬式の日だった。

 それまではずっとばあちゃんとの二人暮らしで、それで割と不自由なく暮らしてきてたものの、ばあちゃんが今年最初の地区掃除のとき土手で転げて急に死んでから、あっという間にいろんなことが目まぐるしく変わってしまった。何も松の内も明けない慌しい時期に死ぬことはないだろうに、と思ったけど、ばあちゃんがそういう人なのは今に始まったことじゃないし、死んだ人に愚痴を言っても仕方ない。

 とりあえず葬式は町内会の人たちがややこしいところを全部引き受けてくれた。葬式ってマニュアルみたいなのがちゃんとあるみたいで、小学校の制服を着て喪主席にちんまりと座っていたら、坊さんがやってきて経を上げてくれて、葬儀屋の人たちが棺桶に入ったばあちゃんを焼き場に連れて行って、喪主は位牌持ってそれについていって骨を拾ったらそれで終わりだった。思ったほど難しいことはなくって、焼香の回数とか骨の拾い方とか、その都度その場で葬儀屋の人が教えてくれたから困ることもあんまりなかった。

 正直なところ、ややこしいのは精進落としの席の方だった。坊さんを囲んで近所の人や遠縁の人がぽつぽつとうちの居間でビールを酌み交わしながら話をしていたので、最初は一応同席していたけれど、いっぺんお茶を取りに台所へ行ったらその隙に話題の中心がばあちゃんの遺した孫――つまり自分のことになっていたので、戻るに戻れなくなってしまったのだ。

 まあ仕方ない。親戚の人たちにしてみれば、ある日突然葬式に呼ばれていってみたら、この中の誰かが小学生の子どもを一人引き受けなきゃいけないってことになってるだなんて、そんなロシアンルーレットは誰だってごめんだろう。おまけに年金暮らしのばあちゃんにまとまった貯えとかはほとんどなくて、この家は一応持ち家だけどすごくぼろいし片田舎の癖地だからあんまり買い手もないだろう。

 ただ事故で死んだってことになるせいで、保険はまとまったお金が下りて、受取人は同居の孫ってことになってるとのことだった。つまりは孫を養育する人がその財産を自由にできるってことだけど、今どき人一人成人させるのにかかるお金は莫大だし、上の学校に行かせることを考えたら、あんまり割に合うものでもないみたいだ。

 そもそもが、ただでさえ少ないうちの親戚はみんな遠くに住んでるし、続き柄も離れているからそうそうやり取りする関係じゃない。おまけにこのご時世、今の暮らしを変えずに小学生の子どもを引き取って育てられるほど隙間のある生活をしている人なんていなかった。まあそうでもなければ、足元のおぼつかなくなったばあちゃんが孫と二人きりで暮らすような道理もなかっただろう。

 こっちとしては、中学まで出してもらえたら後は何とでもなるわけだし、これから五年くらい何とかならないかなあという感じだったけど、考えてみれば五年って案外長いから、養ってもらう身で無理も言えない。向こうにとっては無責任な育て方もできないしってところだろうから、別に悪い人たちでもないんだろうけど、それでこっちの身の振り方が決まらないというのもやるせない。それならどこかの施設か何かに入るのかな、とか思いながら、居間には戻らず仏間の隅で膝を抱えて座っていた。

 まあ、悪くても野たれ死ぬようなことはないだろう、と俯きながらたかを括る。年端も行かない子どもが苦労していたら、それは自動的に周りの大人の責任ってことになるから、誰かが何らかの手段で保護してくれる。例えばこれが鳥の雛とかだったら、親が死んだら梢の巣で干からびるしかないだろうけど、人間だったら施設でも里親でもどうにか育つ手段はある。好き嫌いを言っていられる場合じゃないことくらいはわかってるから、静観して待つしかない。

 こんなとき、子どもってホント何もできることがないよなあ、と思っていたら、ふと玄関の引戸ががらがら鳴った。居間の方は相変わらずの話し声で、多分誰も気づいてないみたいだから、せめて喪主の役割くらい果たさなきゃと思って玄関に行ってみると、ちょうどがらがら扉を閉めている人がいた。家の中は暖房と人の熱気で温もってたけど、玄関を開けた拍子に風がひとめぐりしたせいで、そこだけひんやり冷たくなっていた。

 黒紋付の長羽織を着たその人は、意外なことに若い男の人だった。こっちを見て、「あ、どうも」とか軽く会釈したあと、草履を脱いで躊躇なく上がってきた。ひょいと上がり框で屈み込んだかと思ったら、懐から取り出した白足袋に手際よく履き替え始めたので、どうしたものかと思いながらその相手をしげしげ眺める。

 服装から見て、弔問に来たお客さんには間違いない。顔には見覚えがなかったけれど、それを言えば親族の大半も昨日のお通夜で初めて見知ったような人ばかりだったから、そんなに不思議なことはない。ただ、ちょっと他の人より若くて、そのせいで何となく違和感があった。ばあちゃんの知り合いだとしたら、どこで知り合った人だろう。

 と、おもむろにその人は立ち上がると、こっちをじっと見下ろした。思わず身構えたけど、その人の声は妙に気が抜けていた。

 「仏間、こっち?」

 指差す方向に頷くと、その人は少し身を屈めて廊下を進み、花だらけの仏間に入った。着物の袖を翼みたいに捌きながら仏前に正座して、懐の袱紗から取り出した熨斗を供えると、線香を上げて鈴を鳴らし手を合わせた。その仕草は坊さんみたいに様になっていたけど、多分、和服のせいだけじゃないと思う。

 仏前を一度拝んで、それからこっちを向いてもう一度お辞儀したその人に、タイミングを計って声をかけた。

 「あの、お膳あるんでよかったらどうぞ」

 「それじゃ遠慮なく」

 頓着なくそう言って立ち上がると、今度は迷いのない足取りで居間の方へ向かい始めた。そう広い家じゃないし、話し声のしている方が精進落としの席だってことは見当もつくだろうから、そんなに変なことでもない。

 ただ、その人はふと通り過ぎ様にこんな風に言った。

 「……大変だったな」

 不思議なことを言う人だな、と思った。

 大変なのは、むしろこれからの方じゃないか。まだ身の振り方も決まってないし、この家だってどうなるかわからないのに。そんな風に内心で毒づきながら、和服のくせにずかずかと大またに歩くその人の後を追いかけた。



 イマドキの葬式って、その日のうちに初七日まで済ませてしまうことが多いらしい。確かに、遠方から集まった人に来週もういっぺん法事だから集まれっていうのも酷な話だし、そんなわけで骨上げが済んで帰ってきたらついでに坊さんに法要を済ませてもらった。精進落としってのは、その初七日が済んだときに設ける宴会なんだってことを、葬式の実行委員長をしてくれてる町内会長さんが教えてくれた。

 多分この宴席が済んだらこの親戚の人たちとはもう顔を合わせることもないし、下手したら親戚同士ももう会うこともないかもしれない。だからこそこの人たちも、坊さんが帰らないうちから遺産だの保険金だのと生々しいことを話し合って方向を決めようとしているんだろうけれど、そこにもう一人予期せぬ客が増えたので、さすがにばつが悪そうに口を噤んだ。

 「このたびはお悔やみ申し上げます」

 「畏れ入ります」

 そつのない受け答えをしながら、和服姿の若い人はビールを持って注いで回る。ああ、こりゃどうも、と言いながら坊さんも近所の人も遠縁の人もそれを受けて呷っていく。膝だけでひょいひょいとにじり歩くその動きは胡散臭いくらい似合っていて、妙に手際がよかった。

 廊下で様子を伺いながらしばらく躊躇っていたら、その人はちょっとこっちを振り向いて目配せした。入ってもいいのかな、と隅っこの方ににじり入ると、その頃にはもうさっきまで散々盛り上がっていた話題は影をひそめていた。

 「ところであんた、ええと」

 おばあちゃんの甥の義弟、とかいうおじさんが首を傾げる。和服の男の人はそれに合わせるように首を傾げて、それから唐突に言った。

 「あ、ここんちの上のですどうも」

 「そりゃあまた。あの子の兄さんかね」

 正直驚いた。そんな人いるなんて聞いたこともない。と言うか多分いるはずがない。

 ……と思ったけど、そう言えばそんなことを断言できるほど、身内のことには詳しくない。ばあちゃんからは何も訊いてないけど、それを言えば他の親戚だってそんなもんだった。親戚の方も同じような具合で、それはおかしいと声をあげる人は誰もいないけれど、さりとて唐突に現れた長男に素直に納得している人もいないようだ。まるで狐につままれたような顔をしている。

 和服の若い男の人は、ふとビール瓶を置いてすすいと膝で後退ると、ひらりと羽織の裾を捌いてその場に手を突き深々と頭を下げた。

 「長らくこっちを離れてましてね。やあ、急なことだったんで間に合わず、ちびに喪主を押し付けまして、皆さんにもご迷惑おかけしました」

 相変わらず嫌味なくらい格好が板についている。どうにも様になりすぎているせいか、周りの人たちは意気を呑まれていた。

 「それじゃあまた向こうに戻るのかね」

 向こうってどこだよ。

 「いえ、もう今後はこっちで」

 こっちってどこだよ。

 「ああ、そういうことなら」

 そういうことってどういうことだよ。

 「ええ、厄介をかけまして」

 何がええ、だよ。

 そのくらいの簡単なやり取りで、さっきまでもつれてたはずのややこしい話は、あっという間に畳まれた。

 親戚は元々が縁遠かっただけでそう悪い人たちでもなかったらしく、誰も遺産や保険金でごちゃごちゃ言ったりはしなかった。と言うか、ばあちゃんの遺したものは厄介物の方が多くて、あんまり手放して惜しいものはなかったんだと思う。帰り際にもこっちを振り向く人も誰もいなくて、多分四十九日にも一周忌にもこの人たちは誰も来ないんだろうな、とか背中を見送りながらぼんやり思った。遠くで山に帰るカラスがかあかあと暢気に鳴いているのが、何だかおかしかった。

 来賓を見送る喪主の隣に、遥かに喪主らしいいでたちをした胡乱な男が突っ立ってるのを、果たして訝しく感じた人は多分誰もいなかった。



 ばあちゃんの忌引は三日間だったけど、その後すぐに土日が挟まったので、気分的には結構いっぱい学校を休んだような感じだった。土日は銀行も役場もしまってるから手続きとかもできることは多くなかったし、しょうがないから家の中を片付けたり仏壇の手入れとかしたり、そんな風にして休みの間を過ごしていた。

 死んだ人の食器は割り壊すもんなんだよ、と近所の人に聞いたので、三和土でばあちゃんの茶碗や湯呑をぱりんぱりんと割り壊した。木の汁椀は割れないからどうしようかな、と思っていたら、ふと頭の上で声がした。

 「それ、おれが使ってもいいか?」

 見上げると、框の上に例の男の人がしゃがみこんでいた。葬式の次の日からも相変わらずの和服姿で、似合ってるけどぞろっと少し着崩した感じだった。

 「お茶碗もう割っちゃったよ」

 「茶碗はいい。マイ茶碗持ってきたから」

 準備がいいんだか何なんだか、ふとその人は袖の袂から茶碗を一つ引っ張り出した。真っ白くて、金色のひびみたいな線が縦横に走っていた。

 「いいお茶碗だね」

 「何の。百均のが割れたから金継ぎ屋で直してもらっただけさ」

 にっとその人は笑う。金継ぎってのが幾らくらいかかるのかわからないけど、百円なら絶対買い直した方が安くつく。やっぱり変な人だ、と思いながら汁椀を手渡した。

 ともあれいきなり押しかけてきた自称うちの兄貴は、他にほとんど荷物らしい荷物も持っていなかったので、ばあちゃんの抜けた隙間にちゃっかり滑り込むように納まった。ばあちゃんが大事に取っていたじいちゃんの古い着物とかを引っ張り出しては日陰に吊るしたり、庭の花枝を切ってきては仏壇に活けたり、あとばあちゃんが漬けたままにしてたぬか漬けを引っ張り出して手入れしたり、ついでに梅酒を探し出してきて飲んでみたり、三日も経たないうちに、百年も前からそうしていたみたいに完全にうちの家に馴染んでしまった。よそにいた頃はどんなふうに暮らしていたのか訊いてみたいような気もしたけれど、大方今とそう変わらないだろうからあえて訊かないことにした。

 ほんの一週間前までは、夜はばあちゃんと布団を並べて寝ていたのだけど、今はその人がその場所に納まっていた。知らない人が隣で寝てるってのはあんまり気分のいいものじゃないよなあと思ったけど、こういう成り行きになってしまった以上は今更どうしようもなかった。しょうがないと諦めてしまえば、そんなに気になることもなくなった。

 明日から学校が始まる、という日曜日は、家の掃除を切り上げて早めに寝ることにした。長いこと学校を休んでるとどうしても生活は不規則になるし、早寝早起きだったばあちゃんと違っていきなりやってきた例の人は放っておいたらいつまでも寝てるようなタイプだったから、こっちまでつられて朝寝坊になりがちだった。マイペースな例の人は放っておいて、こっちはこっちで勝手に風呂沸かして入って上がって勉強道具をランドセルに突っ込んで早々と布団に潜り込んだ。

 早く寝すぎたせいか、真夜中に目が覚めた。寝るときには襖の向こうから細く光が洩れていたのにそれも消えていたから、例の人ももう寝てるのだと思った。真っ暗だから時計も見えないけれど、雨戸が風でひどくがたがたいっているのでやけに耳が冴えた。雨戸だけでなく屋根の上からもひょうひょうとすごい音が響いていた。

 「……」

 聞いたこともないようなすごい風の音が家中を軋ませていた。台風のときでもこんな音がすることは滅多にない。どうしよう、何も準備してないし物干し台も出したままだ、と思っているうちに目が冴えてきた。何をどうすることもできないのに、寝付けないで布団の中で転々と寝返りを打った。

 早く風がやめばいいのに、と念じていたら、ふと暗闇の中で声がした。

 「心配するな。ありゃあ天狗だ」

 いつもと変わらない調子の、あの人の声だった。

 突拍子もないことを言うものだから、思わず聞き返した。

 「天狗?」

 「そう、天狗」

 八手の団扇に山伏姿、鼻が長くて赤ら顔の妖怪の姿を脳裏に思い描く。猛禽の羽を背中に負ったその姿は簡単に思い浮かべられるのに、そう言えばどんなことをする妖怪なのか咄嗟には思い出せなかった。

 それを見越したように、のんびりした声が続いた。

 「天狗はな、山の中で一人きりの子どもを探してるんだ」

 「探して、どうするの?」

 取って食うのだろうか。それも現実味がなさそうだ、と思っていたら、その人は物静かに言った。

 「育てるんだ。天狗は拾った子どもを自分の子どもとして育てる」

 へえ、と思った。何か意外だった。妖怪ってみんな、人を取って食ったり、そんなものだと思ってた。

 「別に人間の子どもに限ったことでもないぞ。親とはぐれた獣の子や巣から落ちた鳥の子も同じに育てる。天狗は山の神だからな、山で拾った子どもは全部まとめて面倒を見るんだ」

 そうなんだ、と思った。そう言えば天狗ってあの鼻の長いのだけじゃなくて、鳥みたいな顔のとか犬みたいな顔のもいたような気がする。それもみんな子どもの頃から天狗が育てたんだろうか、と想像したら、ちょっと面白かった。ぴよぴよ餌をねだる雛鳥とか、尻尾を追いかけてくるくる回って転んでしまう子犬とか、それに加えてびいびい夜鳴きする赤ちゃんとか、そんなのに囲まれてうろたえる天狗の姿を思い浮かべたらすごく微笑ましかった。

 ――実は昔から、ずっと不思議だった。親とはぐれたり死に別れた野生の動物の子どもは、一体どうなるんだろう、と。

 一度親離れした動物は二度と親元に戻らないって聞いてたから、それじゃ親離れ前に親と離れた動物は誰を頼ればいいんだろうって。ご飯も食べられずに飢えてしまったり、他の動物に襲われてしまうんだろうか、と思ったら、子ども心にすごく怖かったのを覚えてる。可哀想とか惨いとか、それよりも先に何だかすごく怖かったのだ。それは、少なくともうちの場合は、他人事ではなかったから。

 「そっか、みんな天狗んとこいるんだと、賑やかそうだね」

 「そうだなあ。だからこれだけ騒がしいんじゃないのか?」

 一際風の音が激しく響いた。ぎしぎしと梁が軋む音も、今は何だか少し愉快に聞こえた。

 「ねえ兄貴」

 ふと声に出して、そういえばはじめて兄貴と呼んだってことに気がついた。兄貴と呼べる人はこれまでいなかったから、もしかしたらその音を声に出したのもはじめてだったかもしれない。

 兄貴は、ん、と声を出した。

 「兄貴って、天狗なの?」

 突拍子もないことだとわかっていたけど、何の気なしに訊いてみた。兄貴は、そうだなあ、とか小さな声で呟いて黙り込んだ。

 隙間風で布団が冷えて寒かった。そっちの布団に行っていい、と訊こうと思ったけど、やっぱり言わないことにした。そう間もないうちに、すっかり寝こけてしまっていた。

 明け方見た夢は、空を飛ぶ夢だった。家の上や裏山の周りを、風に乗ってひょうひょうと好き勝手に飛び回る楽しい夢だった。庭の常緑樹の梢を飛び越えた拍子に葉っぱがいっぱい風で散って、それが凄く面白かった。途中で、あ、夢だ、と気がついて薄目を開けたら、布団の上に半身を起こしている兄貴の影が、障子越しの薄明かりに浮かんでいるのが見えた。その背中に羽みたいなものが見えたので、まだ夢を見てるんだな、と思って目を閉じた。



 翌朝は驚くほどからっと晴れていて、夜半の嵐が嘘のようだった。

 寝汚い兄貴はいつまでも布団から這い出してきそうになかったから、昨夜の残りのご飯と温めなおした味噌汁を啜って学校に行く準備をした。少し早めに起きたから、玄関先をちょっと掃いておこうかと思って箒を持って外に出た。ひゅう、と凩が吹くので前を開けてたジャンパーのファスナーを喉元まで引き上げる。

 そこらへんにいっぱいに散らばっていたのは、まだ青い常緑の木の葉だった。それが玄関から庭先まで、ずっとばらばらにぶちまかれていた。

 ふと思い立って、掃き掃除の後で居間に戻る。卓袱台の端に座布団と湯呑と茶碗と汁椀と箸を並べておいた。兄貴の持ってきたマイ茶碗は、透き通るほど白くて薄くて、蜘蛛の巣みたいな金色の接ぎ目がすごく綺麗だった。

 いくらものぐさの兄貴でも、ここまでお膳を立てておけば自分で朝飯くらい食べるだろう。



天狗


【分布】

 全国の山。

【形態】

 赤ら顔に長い鼻、鳶の羽を持つ山伏姿の場合が多い。

 近縁に鳥面の烏天狗や木の葉天狗、狼姿の狗賓、女性の女天狗など。

【生態】

 周囲から頭一つ抜きんでた目立つ山に多く生息し、山岳信仰と結び付けられて語られることが多い。目撃地には天狗松、天狗岩等の地名がつくため、生息地の特定は比較的容易。

 幼児誘拐事件の容疑者としてよく名が挙がる一方、救助された子どもから「天狗に助けられた」との証言もしばしば聞かれるため、ただの子ども好き妖怪との説も根強い。

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