俺は不調でパーティを追放されたが、それは美しい戯神様の仕業!?救いを求めて自称美少女な遊神様と一緒に大陸中を旅したら実は全て神界で配信されていた件
第19話 スキル本で封印されたスキルが解放されるってよ!
第19話 スキル本で封印されたスキルが解放されるってよ!
そうして幽霊船に向けて発射された弾丸……こと、俺。
船底にあいた穴に水中から突入させられた。
そこは小部屋になっていて、アンデッドモンスターがうじゃうじゃ……
「幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い」
……していなかった。
「もういいから。なんか気配はあるのにアンデッドモンスターがいないね!?」
「幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い」
「いいかげんにしろーーーー」
ばしぃん!
しゃがみこんでいたら思いっきりひっぱたかれた。
「いたたたたた」
「どう?少しは落ち着いた?」
「はっ、俺はなにを?」
ミルティアに肩をゆすられた俺は周囲を恐る恐る見渡し、幽霊がいないことに安心して立ち上がった。
そこへ白い
「ぎゃあーーーーー」
「なっなに?」
俺がとつぜん剣を振り回すしたから、あわてて距離を取るミルティア。
そして、俺の剣によって巻き起こった風に流される白い
「ちょっ、ちょっと。落ち着いてアナト」
「うわぁあぁああああ」
「落ち着け~~~」
うるさっ。耳元に近寄ってきてそんなに喚くな!
「しつこいよキミ。ちゃんとして!」
「あっ、あぁ、悪い」
くそっ、あの
待っていても何も起こらない。ただ浮いてるだけなのか?なんだよ!驚かすなよ!
小部屋を出るとまさしくアンデッドモンスターの巣窟だった。
俺は無我夢中で剣を振る。幽霊怖い幽霊怖い幽霊怖い……。
「アナト、頑張れ!幽霊船だから多少火を使っても大丈夫だから!」
「火魔法持ってね~よ!」
「えぇ???」
なんで驚いてるんだ。持ってないと言うか、スキル欄にはあるけど使えないんだよ!
「わかった。これをあげるから使って!」
「ん?いてぇ!なにすんだよ」
ミルティアが青い本を投げてきた。
その青い本は俺に当たって地面に落ち……ずに消えた。なんだ???
その本が消えたと同時に俺の頭の中で何かが変わったのを感じるんだけど、なんだ?
「それでキミは火の魔法剣を使えるようになったはずだよ!」
はぁ???
「その本はキミの使えなくなってるスキルを解放する本だよ!火の魔法剣を使ってみて!!」
スキルを解放する本ってなんだよ!?聞いたことねぇよ!
でも、なんかはじめてミルティアのことを神様なんだなって思った。
俺は半信半疑でドキドキしながら……ごめんなさいウソです。
間違いなく使えるという確信を持って火の魔法剣を発動した。
「おぉ!」
そして俺の剣は炎に染まった!これならやれる!アンデッドモンスターを焼き尽くしてやるぜ!
「そこには旅の序盤に虫から逃げ惑っていた弱弱しいアナトの姿はもうない。あるのは火の魔法剣によってアンデッドモンスターを倒し続ける頼もしい男の姿。見てほしい、この変化を。旅の中で失敗しつつも様々な経験をし、成長した男の姿を!彼は成長し、様々な敵とも戦える立派な剣士になったのだ!!!」
俺が戦ってると言うのに、ミルティアはどこかに向かって何かしゃべっている。
「どうした?ミルティア」
「あっ、なんでもない」
いつものへんてこな行動か。こんなときにやめてくれ!
まぁそれは良いんだが……。
「さっきの本はなんなんだ?いきなりスキルが使えるようになったんだが!?」
「あぁ。あれはねスキル本だよ。使ったからわかると思うんだけど、キミの使えなくなってるスキルを解放して使えるようにできる。便利だよね」
便利だよね?ではない。そんなもの聞いたことがないんだが……。
俺はどんどん覚えていくのに使えないスキル群に諦めを感じていたんだが、神様の力で解放できるなんて……期待していいのかな?
「神様の世界にはあんなものがあるのか?」
「あれ?この世界にはないんだっけ?まぁいっか!」
まぁいっかじゃないと思うんだ。
他に俺みたいなことになっているやつの話を知らないけど、俺にとってはまさに福音……。
エターナルブレイクを放つ日がもしかしたら来るのだろうか???
「アナトのスキルが使えなくなってる理由は僕にはわからないんだけど、解放はできると聞いてるからね」
期待感からか、ミルティアが向けてくる笑顔がまぶしい……、けど……
「誰に?」
「あっ……、内緒で」
誰だ?まさか第三の神様か?ついに来たナイスバディのお姉さまタイプだよな?
「え~とあのね。冥神さまだよ」
ほうほう、冥神様か……えっ?冥神様?
「それは1級神の冥神様かな?」
「おぉ、よく知ってるねアナト!その冥神さまだよ」
「おっさんじゃね~かボケ~~~~~!!!!!!!!!!」
「あっはっはっはっはっは。そうそうおじさん!というかクソおやじ!」
さようなら俺の妄想のナイスバディのお姉さん女神様(涙)
「なんで泣いてるのかわかんないけど、スキル本は便利だよね。さっき使ったのは青だけど、他にも紫とかオレンジとか赤とかの本があるからね!」
「なるほど。赤とか紫がいいな」
「なんで?オレンジだっていいよ!!!?」
ほっぺを膨らせて文句を言ってくるミルティアの反応は予想通りだが、神様と聞いて、俺の中のオレンジはお前なんだもん。
ちなみに紫は戯神様だ。
赤は……なんか強そうだろ?
「むぅ、せっかく使ってあげたのに失礼なアナトだな」
これはまずい。マジで怒る3秒前だ。
「ありがとな、ミルティア。助かったよ」
「むぅ~」
まだ膨れている……くっ、感謝攻撃では倒せないか。それなら……。
ぎゅっ。
「えっ……!?」
「感謝してるよ、ミルティア。いつもありがとな」
言い切った。ミルティアを優しく抱きしめ、むずがゆさを我慢した俺の腕と口に乾杯!
「あっ…あっ…あっ…」
こいつ本当に神様か?俺の腕の中で顔真っ赤にしてるんだけど。
「アナトのアホ~~~~~~~」
「ぎゃあぁぁあああああ」
なんでだよ。なんで感謝したお返しが電撃なんだよ!?
しかもアンデッドモンスターがまた起き上がってきてるじゃねぇか!
「手伝えよ!なかなか数が多い!」
「えぇ嫌だよ。気持ち悪いもん」
嫌そうな顔を隠さない……。
「気持ち悪いもんじゃないんだよ!」
俺だって嫌なんだよ!
「あっ、アナト右。来るよ!」
「くそっ、この!」
ミルティアの指示に従って、俺は火の魔法剣でアンデッドモンスターを斬り続ける。
ほっといたらまた立ち上がってきそうだが、焼いているから時間は稼げるだろう。
そうしてあらかたアンデッドモンスターを撃退した。
小部屋の扉を開けると、そこは部屋ではなく、外だった。
幽霊船の上だ。
ものすごい快晴で太陽がまぶしい。冬だからものすごい寒いけども。
「アナト、あれ!」
「あぁ……。羅針盤……だな」
ミルティアが指さす場所に大きな舵が設置してあり、その横に光るのは間違いなく羅針盤。
あれが"境界の羅針盤"か?
俺は舵に近づき、その羅針盤に手を触れた。
そして、羅針盤は崩れた……。
「えっ……」
「なにしてるのさ、アナト!」
「えぇ~~~何もしてない。触っただけだぞ!」
ミルティアが俺の後ろで文句を言っているが、崩れ落ちたいのは俺の方だ。
なんだよこれ……。
また手に入らないのか……。
いいかげん泣くぞ。
呆然と崩れ去った羅針盤があった場所を見つめていると、あたりから黒い煙が立ち込める。
なんだこれ、空に昇っていく……。
空もどんどん曇っていく。なんか黒い雲が集まってきてないか?
そして雲が降りてきて、煙と混ざっていく。
不吉な予感しかしないんだが!!!!!
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