俺は不調でパーティを追放されたが、それは美しい戯神様の仕業!?救いを求めて自称美少女な遊神様と一緒に大陸中を旅したら実は全て神界で配信されていた件

蒼井星空

第一章 大陸横断の旅

第1話 パーティ追放

「悪いがお前はもう連れていけない。パーティー追放だ!」


 司令塔である俺がちょっと不調に陥っただけで、いかついおっさん戦士ガーロン……パーティーのリーダーだが……がこんな酷いことを言ってきた。

 あぁ神よ。なんて不条理なのでしょう。

 

 というか、とある神様のせいでこうなったので何とかしてほしい。

 切実に。


 周りではパーティーメンバーが笑いをこらえてるし、俺の体は重たいし、ちょっと不運とかいう問題じゃないと思うんだ。


 あぁ、不調なせいで自己紹介すらまだだった。

 

 俺はアナト、22歳だ。Bランク冒険者の魔法剣士で、エフリードという街を拠点に活動しているこのパーティの司令塔だ。いや……だった。

 

 くそぅ。3年も一緒にやってきて、あと一歩で上位と言われるAランクだったのに、あっさり斬り捨てるなんて。

 もしかして嫌われてたのか?

 黒魔導士のトージは根暗系わがままボーイだから当然としても、白魔導士のリーゼルはフォローくらいしてくれてもいいだろうに。


 勘弁してくれよ神様たち。

 

 * * * * * *


「くそっ、体が重い……」

 慣れたダンジョンで慣れた仲間。

 普段なら簡単に進める場所だが、今日の俺はなぜだかとても調子が悪く、みんなの足を引っ張っている。


「おい、アナト。どうしたんだ?動きにキレがないぞ?」

 リーダーである戦士のおっさん……ガーロンに指摘されるとおり、俺の体の動きは明らかに悪かった。

 特に手が動きづらい……。

 

「すまん。どうにも体が重たくて……」

 思い当たる節はない。

 いや……昨晩、夢だと思うんだが、大きいものが落ちてきてつぶされた。

 

 なんとなく柔らかい感触の何か。

 それで目覚めたんだが、それから体が重い。


 今まで変な夢を見たことはあっても、こんなふうに調子が悪くなることはなかったのに。

 

「まさか呪われたんじゃないか?お前、ついてないもんな。バチでも当たったんじゃないか?」

「なにを!?このパーティの中で唯一善良な俺になんてことを!」

 それがリーダーの言うことか?

 まるで聖人のような俺に対して……。

 

「よく言うぜ。おいっ、敵だ。戦え!」

 俺たちは経験あるパーティだ。

 軽口を叩いていても敵への警戒を怠ったりはしない。

 

 ガーロンが敵を察知して声を出したのとほぼ同時に、いつものように即座に隊列を整える。

 前が戦士ガーロンと魔法剣士の俺、真ん中に白魔導士リーゼル、後ろに黒魔導士トージという構成だ。

 魔法に偏ってはいるが、それが俺達の特徴でもある。

 

 出てきたのはスケルトンだった。いつものように魔導士トージの支援を受けた俺が敵を倒す……


 はずなんだが、体に力が入らない。


 ただのスケルトン相手に防戦一方だ。

 

 盾を使ってなんとか攻撃を受け流したが、止めは戦士ガーロンに譲った。


「やっぱりダメそうだな、アナト」

「すまない」

 戦士ガーロンの言う通り、さすがにこれはまずい。

 動くことはできても剣が上手く振れない。

 足はそうでもないが、手が動きづらいし、体は何かに締め付けられてるみたいだ。

 

「しかたね~な。次までに治しておけよ!今日のお前の報酬はなしだな!」

「そんな……」

 確かに今日の俺は足手まといでしかなかった。

 戦士ガーロンと黒魔導士トージの火力で多少の稼ぎがあったのが救いだ。

 俺はメンバーに謝りつつ、仕方なくリーダーに従う。


 俺たちはまだ昼だというのにダンジョンから出て転送の魔道具を使ってエフリードの街へ帰還した。

 いつも思うが便利な魔導具だよな。

 

 

 街にある冒険者ギルドの建物で今回の探索でゲットしたものを精算する。

 ここでは鑑定もしてくれるから、今後の探検に使えそうなものは鑑定してもらって不要なものだけを精算するんだ。


 結果、そこそこのお金になったが普段の稼ぎの半分以下だった。

 そのお金を俺以外の3人で分配し、今日は解散する。くそぅ……。


「アナト、おかしいようなら神殿で見てもらって来いよ」

 こう見えてもさすがリーダーだと3年間ではじめて感じた。

 ただ、ちゃんと心配してくれてるらしいが、稼ぎもなく神殿で見てもらうのは何気に痛い……。


「わかった」

 しかし俺は素直に頷く。


「本当に呪われていたら大変だしな。お前、なにかしたんじゃないか?」

 普段無口な黒魔導士トージがニヤニヤしながら言ってくる。

 嬉しそうだな、お前……。

 

 俺は仲間の白魔導士リーゼルに付き添ってもらって神殿に向かった。




「夢で大きな柔らかいものに潰されたら現実で調子がおかしくなった……か。不思議なこともあるものだな」

「勘弁してほしいぜ、まったく……」

 神殿までは近いので徒歩だ。

 気を紛らわすために適当な会話をしながら歩いていく俺たち。


 

 その途中で……。


「いてっ」

「あっ、ごめんなさい」

 オレンジ色の何かが俺にぶつかる。どうやら女の子のようだ。


「こっちこそすまん。体の調子が悪くて避けれなかった」

「ううん。ボクもよそ見してた……から……。って、あはっ、あははははははははははは」

 

 俺の方を振り返ると突然大笑いを始めた少女。

 鮮やかなオレンジ色の髪は自由奔放に波打ち、古めかしい丸い大きなメガネをかけ、薄いクリーム色のローブを羽織っている女の子。

 よく見ると可愛らしい整った顔立ちに見えるが、なんだこいつ?


 ちょっと可愛いかもとか思った俺がアホみたいだ。

 周囲の目も気にせず転がりながら大笑いしているので、全てが台無しだった。

 なんで気付かなかったんだろうと思うくらい気配が強いのが不思議だが……。

 


 さらに体の締め付けが強くなってきた気がする……。

 こんなやつに構ってる余裕はない。


 

 笑い転げる女の子を無視して先を急ぐ。

 



 ようやく神殿についた。


 リーゼルが受付で話をしてくれたので、すぐに俺の状態を見てもらえることになった。

 良いやつだったんだな、リーゼル。知らなかった……。



 案内された部屋に入って少し待っていると、仰々しい装飾を身につけたお爺さんがやってきた。


 そして俺を見るなり……。


「まっ、まさかこんなことが……ぷぷぅ……いやしかし……ぶふぉ」


 と、呟きながら笑いをかみ殺せないお爺さん。


 さっきの女の子といい、このお爺さんといい、なんなんだよ!


「どうしたんですか?彼に……アナトに何があったんですか、神殿長!」

 威厳も何もかも放り出してただ笑っているお爺さん……。

 こんな人が神殿長なのかよ!


「ぷっ……いや、すまん、その男は……ぷー……大いなる神のな……ぷぅ、くっくっくっはっはっははははは」

 なんだよ、早く言えよ!

 

「こんなに苦しいのにそんなに笑うなんて……」

「すっ、すまん。いや、しかし、ひーーーー」

 睨む俺を見て謝りながらも笑いが止まらない神殿長……。

 


「すまんすまん。この男はな……ぷっ……少しずれた次元でな……大いなる神のな……ぷぷぅ……」

 なんだよ。笑わずに喋れよ!神殿長なんだろ!?

 



 

「"おしり"に挟まっておる、ぷはーーーーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは」



△△△△アナトのつぶやき△△△△

どうだ、この俺の全身全霊を使って繰り出した神殿長への渾身の一撃ギャグ

もうやけくそだ!笑えばいいさ_(  _*`ω、)_

もし笑ってくれたそこの貴方!【1個だけでもいいので】★評価を……頼む!!!


でもこれ……治るんかな??

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