第2話 宏人side

 「ねえ~ひろとお~次いつ会えるう?」


 ベッドに腰かけネクタイを締める俺の背後で甘ったるい香水を匂わせベッドに横たわる女が俺の腰に手を回してくる。


 (鬱陶しい。次を求めてくんな)


 「さあ。また連絡する」


 後ろを振り返らずそう言い、女の手を払い除け出口へと足を運ぶ。


 「もお!そう言って連絡よこしたの3ヶ月ぶりよ?!いつもいつも急なんだから!!」


 わあわあ言う女の言うことには反応せず「またな」と言って扉を閉めた。



 女はちょろい。女は都合がいい。

 

 女が喜びそうな言葉をかけ、女が喜ぶ物を与えればホイホイと都合のいい女になってくれる。

 べつに正式な関係にならずとも性欲の捌け口となってくれる女は沢山いる。


 俺にとって思い通りにならない女などいない。女はただの性欲を満たす存在で、付き合うだの結婚だのそんなめんどくさい関係に俺の仕事の邪魔をされたくない。


 俺にとって成功が1番大事。


________________________


 彼はまだ知らなかった。成功を上回る大事なものができることに。

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