第14話 「目的」

未紗さんのいざこざが終わり2人が席についた。わざわざ席替えしておれの両隣を陣取らなくてもいいのになとは思うけど。




「陸どうだったー?面白かったでしょw」



「いやお前、何言ったんだか知らねぇけどあんまいじめてやんなよな」



「でも陸くん、美緒さんのおかげで助かったのはほんとだよ。ありがとね♪」



「いやー照れますなーw」




やっと平和が戻ってきた感じがする。

1名を除いて...




「おい陸、いつになったら美緒帰るんだよ。」



透は怯えながらおれに問いかけてくる。

まぁ、ドンマイw





それにしてもまさかこの5人で遊ぶことになるとは思わなかった。

美緒も加わったらどんな恐ろしい修羅場になるんだろうとは思ったけど意外と馴染めていたりするからやっぱり陽キャは強い。




朱音さんは話題振りでこんなことを美緒に聞いていた。



「そういえば美緒ちゃんはどうして陸くんと付き合うことになったの?

確か1回降ったんだよね?」




「あぁーそれはいろいろあったんだよねーw

体育祭とか文化祭とか修学旅行でたびたび友達として関わる機会があったりして。

まぁ1番はやっぱりあのことがあったから...」



「美緒、悪いけどジュースおかわりね。

とりまコーラ注いできてー」




おれは話を遮って美緒にジュースを取りに行かせた。

美緒は不貞腐れながら渋々とグラスを持ってドリンクコーナーへ向かっていった。



さすがにあれを聞かせるにはまだ早い。



「陸、お前まだ...」



透は心配した顔でおれに聞いてきた。

このことを知ってるのは高校一緒だった透と美緒の2人。




「え、陸くんどうしたの?」


未紗さんも心配した顔でおれに聞いてきたけど笑って誤魔化して




「え、あぁw

あいつ暴露魔だからおれの高校の黒歴史でも話そうとしたから誤魔化しただけだよw」




正直未紗さんや朱音さんに言ったってもう自分の中では消化した問題だから言う必要なんてないって思っていた。


透もあきれた顔でおれを見ていた。








     ーーーーーーーーー


それからはみんなで楽しく焼肉を食べて楽しんだ。

そしてあの男の分まで支払った...



真面目にバイト始めなきゃ貯金尽きるから。





「じゃあみんな!また遊ぼうね!

陸にグループ作ってもらうからみんなあとで参加してね!

みんなで次遊ぶの楽しみにしてるからね、バイバーイ!」



美緒はそう言って帰っていった。

相変わらずの自由っぷりを発揮したなと思った。




「じゃ透君、私たちも二軒目に行こっか!

未紗、陸君にちゃんと送ってもらうんだよ。陸君わかってるよね?」



朱音さんに圧をかけられて引きつった笑顔でうなづいた。

そして透はまた朱音さんにひきづられて二軒目へ向かっていった。




「じゃあ私たちも帰ろっか♪

今日はごめんねいろいろと・・・」



未紗さんは不安そうな顔でおれを見てくる。

やめてくれ、そんな可愛い顔で見ないでくれ。



「気にしないで、おれだって未紗さんに謝ろうと思ってたんだ。

今日はごめん、おれの不甲斐なさで未紗さんを傷付けちゃったから・・・


これ、今日みんなに相談して買ったんだ。アロマ好きって聞いたからこの香りを。」



そう言っておれは買ったアロマを渡した。

未紗さんは受け取った。そして満面の笑みをして



「私ために買ってくれたの!?

ありがと!!さっそく今日帰ったら使い始めるね♪」




喜んでくれたなら何よりだ。

お詫びとはいえ、買って本当によかったと思った。


そして駅のホームまで送り、解散した。




今日はいろいろあったけど、こうしてみんなでワイワイと遊ぶのがこんなに楽しいんだなと改めて感じた。





 


       ーーーーーーーーーーーーーーー


遊んでからかれこれ1か月が過ぎた。

おれはさっそくバイトを始めたからあれから予定が合わせづらくなったからなかなかみんなで遊べないのが残念だ。


バイトはカラオケで、実は透から誘われて応募したから今一緒にバイトをしている。



GWもバイトを入れていたからあとから知ったけど美緒が2人を誘って女3人でちょっとしたプチ旅行をしたのだとか、定番の温泉街に行ったと。




度々グループでは会話をしていたけど、学校では昼休み以外でみんなとあまり話す機会がなかった。そんな中、この間サークルに参加したときに翼先輩と香先輩が今度バーベキューをするから来ないかと言ってきた。


もう透と朱音さん、未紗さんは参加すると言っていたから参加しようかと思い予定を確認したらその日はバイトが入っていなかったから参加する旨を2人に伝えた。




「そうかそうか、陸くんが参加するのは意外だな。

そういうの苦手なタイプの人種かと思ったけど・・・」



「そうですか・・・?」



まぁそう思われるのはよくあるけれど・・・





とりあえずバーベキューの日程までは学校やらバイトやらを頑張ろう。


最近は少しずつ自分でも行動を起こそうと思えるようになったのは透と一緒にいるのが多くなったからなのか、女友達ができたからなのか。

ちなみにようやく先輩2人と連絡先を交換をした。



それから今日はバイトをして、家に帰ろうとしたときに通知が鳴った。

香先輩からだ。





『お疲れ様!当日は11時に○○駅に来て!』



『わかりました』



当日みんなと遊ぶのが楽しみだった。









         ーーーーーーーーーーーーー



10時40分

あっという間にバーベキュー当日になり、集合場所に着いたところだった。


集合時間まで20分切ったといいうのにまだ1人も来ていない。

あれ、今日だよな。もしかしてハメられたかと不安になったところでやっと1人が来た。



香先輩だ。




「あれ、陸君1人?」



「あ、香先輩。そうですけど他のみんなはまだ来ていないんですが・・・」



「そりゃそうよ。だって本来の集合時間から2時間も早いんだから」



「え、は?」



「実は陸君と一度サシで話す機会が欲しいなって。

相談したいこともあって・・・」




だったら最初からそう言えよなと思いながら2時間暇つぶしにカフェに行くことに。






とりあえずアイスコーヒーを頼み席についた。

全く、あんまり話したこともないのに相談なんて一体この人は何を考えているのか。






「ごめんねこんな時間に呼び出しちゃって・・・」




「いえ、別にもういいんですけど。それでなんでおれは呼び出されたんですか?

あんまり話したことないですよね」



「そうなんだけどね・・・

これは陸君にしか頼めないことなんだよね」



一体何を頼まれるんだ。

もしかして誰かに復讐したいとか・・・


どっかの殺し屋じゃないんだぞおれは。




「実は私好きな人がいて・・・

その人のことを見ると、顔が熱くなったりしちゃうんだよね」



「は、はぁ・・・」



いやマジでおれに関係あることなのか・・・



うーん、なにか心当たりがあるとしたら・・・




ま、まさか





「どうにかして透君と付き合いたいの!」




ああやっぱりそうですよねー

てか声でかいわ!




「いやーさすがに透は厳しいんじゃないんですかねー」



「だって、透君と高校から一緒なんだよね?

好きなものだったり趣味だったり教えてほしいの!!」



いや声でかいから、カフェで話すボリュームじゃないから




「落ち着いてください、今あいつのこと狙ってる女おれが知ってる中じゃ30人くらいいるんですよね」



「30人!?」



「はい、昔からそうなんですがあいつちょっと優しいこと言ったりするとすぐに惚れられちゃうからすっごい困るって。

別に好きじゃない人に惚れられてもしょうがないって」




「やっぱり手ごわいわね・・・

でも陸君には協力してもらうから!」



「いやですよ、おれだって暇じゃないんですよ」



「あれあれ、いいのかな?

そんなこと言って・・・w」



そう先輩っが言い出してあるものを見せてきた。




な、そ・・・それは!?




「この間この本屋でこんなエロ本を見てたよね?w

超絶美少女の・・・



おまけにこの表紙の子、未紗ちゃんにそっくりだよね?

こういう子で普段してるんだなーって」




「え、なんでそれ・・・?」



「私この本屋でバイトしてるから偶然とはいえこんな時の為に撮っておいたんだw

断ったらこの写真をサークルのグループに張り付けちゃおうかな?


未紗ちゃんにバレたらどんな反応するかな~」




「協力します、させてくださいお願いします。

だからそれは、それだけは」



「よし、じゃあ今日は私の指示に従ってもらおうかw

今日1日透君と仲良くできるように計らってもらうからね!」




なんで、なんでおれこんな目に・・・




「はぁ、目的はなんですか?」



「今朱音ちゃんとか含めて群がってるやつから透君を解放して、私が彼と付き合うために決まってるじゃん!

やっぱりあのイケメンと付き合えたら学校とか街中でも話題になるじゃん。

ステータスとしては最高じゃん!!」



目を輝かせながらそうおれに言い聞かせてきた。

先輩がそんながめつい人だとは・・・




「とにかく!

この写真がバレたくないなら私のいう事を聞くことねw


さぁ、私の目的達成のために今日1日働いてもらうからね?w」




とんでもない人に目をつけられてしまったとこの時ほど思ったことは今後ないだろう。

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