第2章 「やはり元カノって存在はうざい...」

第9話 「繋がり」

「そう、あの人だよ」


私はこの言葉を聞いて少しめまいがした。

まさかその人と付き合うなんて思わないじゃん...






「そうなんだ!陸くんにとっては今でもその人は、大切な人なの?」


「どうだろうね、卒業してからもう全然連絡来たりとかないからきっと大学でさぞモテてるんじゃない?」





陸くんはそうはぐらかしたけど私にはわかる。

多分陸くんにとってはその人がまだ心の中にいるんだなって...



正直悔しい気持ちはあるけど、しょうがないのかなとも思う。

陸くんが一目惚れしたほどの人なんだから。


だから一度でいいから私も会ってみたいと感じた。






      ーーーーーーーー



その後、駅のホームまで送ってもらって解散の流れに入る。

今日はバイトやらご飯やら色々あって正直少し疲れてきてたところ。






「じゃ未紗さんおれ電車こっちだから、今日はいろいろと付き合ってもらってありがと。

気をつけて帰ってね。」



「こっちこそ、バイト先にまで来てくれてありがと♪

透くんにも来てくれてありがとって伝えてね!またね!」




こうして私は陸くんと別れてホームへ向かう。正直離れるのが寂しいけど、また学校とかでも会えるかな...って思ってたけど。




そういえば陸くんと学部とか違うから会うタイミングない。

私と朱音ちゃんは「文学部」、陸くんと透くんは「経済学部」でコマ割りとかを考えるとやっぱり会うタイミングがないなって。




そう憂鬱な気持ちになりながら電車を待っていた。






     

     ーーーーーーーーー



最寄りに着いた私は少し小腹が空いてきた

コンビニでスイーツやお菓子を買って少しでも癒しを求めてきた。




店の前まで着くといかにもモデル体型の美人がイライラしながら立っていた。

肌が白くそれでいてすらっとした体型に私はつい見惚れていると私に声をかけてきた。




「何見てんの?」


「いえ、何でもないです。」




なんだか萎縮してしまった。

さすがに私じゃそのようなモデル体型の人は恐れ多い。見ているだけで充分。







その後目的のプリンとちょっとしたスティックのお菓子やポテチとかを補充していった。

朱音ちゃんスナック菓子好きだから念の為に多く補充しておけばなんとかなるだろう。





そしてまた例のモデル体型の人を横切っていくとぶつぶつと独り言のように












「マジで陸のやつなんで返信返さないんだよ...」










え、陸くん?





いやいや、さすがに同じ名前の人がいるんだなってその時は思っていた。

すると彼女は電話を始めて...








「もしもし陸、なんで私のL○NE無視してたの?」




「はぁ?他の女と一緒にいたって関係ないでしょ!てかこれから来てよ!腹減ったからなんか奢ってよ」




どんだけ上から目線な人なんだよって思いながら私は家に向かって歩いていった。






まさかね、陸くんの元カノが仮にこんな人だったら陸くん人を見る目がないよって言いたくなるくらい。









      ーーーーーーーーー



家に着いて私はさっそく朱音ちゃんにまずトークした。




『朱音ちゃんちゃんと帰れたー?』








1時間後...



お風呂は私は意外と早く出るから確認してみたけど、まだ既読ついてない。




え、まだ透くんと一緒にいるのかなと思い今度は透くんに聞いてみることにする。






『透くん、朱音ちゃんとまだ一緒にいるのー?ちゃんと送らなきゃダメだからね!』





寝る支度をしながら返信を待ってみるけど全く既読がつく気配がない。





え、まさかね...

さすがに2人がそんな関係になるわけないよねと思いながら今日あったことを思い返す。








今日バイト先で陸くんに喜んでもらえたかな?

陸くんが驚いてくれたのは私は嬉しかった。



ついでに透くんも。





その後には朱音ちゃんとも合流して4人で楽しくご飯で話せたなって。

陸くんが一目惚れした人について気になるけど、陸くんは本当はどう思ってるのかな?




雑貨屋で陸くんが写真撮るのが好きって聞いていろんな場所に一緒に行って、一緒にたくさんの思い出を作りたいなって一瞬でも思ったのはわがままになるのかな。





って私いつの間にたくさん陸くんのこと考えちゃってるじゃん。

まだ出会ってそんなに経ってないんだからさすがに陸くんはまだそんなに私のこと信用してないって。








でも、私にとって初めてちゃんと1人の人間として向き合ってくれてるって感じるから。

だからこそ彼ともっと仲良くなって、いろんな場所に行って、たくさん話して、いつか私のことを話せるときが来たらちゃんと話して...






私にとって最初で最後になる大恋愛になるような気がしてならないから。

だからこそ最大のチャンスを逃さないようにしないとね!






なんとか朱音ちゃんと連絡とれたら今度はどこかGWに合わせて出かけられるように段取ってもらおう!






私はライトを消して横になった。

早く返信来ないかなって思いながらいつの間にか寝落ちすることになった。









     ーーーーーーーーーー


おれはある人物に呼ばれて渋々近くのコンビニまで迎えに行くことになった。

ここに来るのもそういえば久しぶりだな。






「あ、やっと陸来た。遅いんだけどマジで。」



「遅いんだけどじゃねぇよほんとに。いつもそうだよな、こっちの都合とかなんも考えずに呼びやがって」





いかにもモデル体型の女がおれにそう言ってきた。

いっつもそうだ。勝手なやつだなと思いながら続けて






「あのさ、おれ明日学校なんだけど。今ここにいたら終電逃しちゃうんだけど。どうすんのマジで」



「じゃ私の家来ればいいじゃん。食べ物買ってさ!

いろいろと大学生活どうなのか聞いてみたいし」



「相変わらず自分勝手なやつ。てか行かねぇよ。どうせ新しい男家にいるんじゃねぇの?」



「いないから、あの男つまんなかったからもう振ったの。だから誘ってんじゃん」




相変わらずだなほんと。

って言っても結局こいつには何一つ響いてないのが悲しいとこだけど。



ゴリ押しで押されて家に向かうことになった。

決してやましい意味で行くんじゃないからな、そこを勘違いされても困るし。




杉浦美緒

おれが高校時代、いや人生で初めての一目惚れ兼黒歴史...








ーーーーーーー



「そういえばコンビニであんた待ってた時にすっごい可愛い子が私のこと見てきたんだよね。」




2人で美緒の家に向かっている途中のことだ。

美緒が突然そんなことを聞いてきた。





「へぇ、まさか近くにそんな可愛い子がいるんだ。知らなかったわ。」



「まさかその子のとこ行こうとしてる感じ?それ許さないよ?」



美緒が圧をかけた笑い顔で言うもんだからおもわず首を横に振ってしまった。

できるならおれもその人を見てみたかったのはある。





「陸は私だけ見てればそれでいいんだから。いくら可愛いって言ったって私には及ばないから。」



「ほんと自分好きだよなお前、それでこそ美緒って感じ」



「お褒めに預かり光栄ですw」


「いや褒めてねぇし、むしろ皮肉の意味で言ってんだよ」





久しぶりのツッコミは疲れる。









      ーーーーーーーー


久しぶりに美緒の家に来た。

部屋はやっぱり散らかっている。

はぁ、美人なのにこんな部屋見たらそりゃ他の男だって変な気起こさないわ。


そう思いながら高校の時のように軽く掃除を始めてしまう。



高校の時から美緒はおれに対して上から目線って言うか都合よく使われているというか...



まぁそこが一目惚れの弱点だよなと感じる。






「ほら陸、洗い物もあるから楽しんでやってね!」



「おれはお前のメイドじゃねぇんだよ、つか何日貯めてんだよ洗いもん」



「あ、そういえば透くん元気にしてる?同じ大学でしょw」



「話をすり替えんなって。まぁあいつと今日遊びに行ってたけど。」



「へぇまだ仲良しだったんだ。透くんやっぱり優しいね〜

透くんやっぱり大学でもモテるでしょ、あんたと違って」



「その皮肉じみた言葉は聞き捨てならねぇな、おれだって大学では彼女欲しいって思ってんだぜ」



「いやいやあんたには無理でしょ、コミュ障で人の気持ちに鈍感なあんたにはw」



「帰んぞもう」



「えーどうせ終電ないんだから泊まり確定でしょ?w」




痛いとこ突いてくんなよなマジで。

こんなとこ誰かに見られたら何噂されるかわかんねぇのによ。




「今日だけだぞ泊まんのは、もうそもそもおれは会うつもりなんてなかったんだよ」



「とか言って、また入り浸っていくんじゃないの〜?w」



「いや、ほんとに。もうマジでいいかげんこういうの辞めねぇか?

もうおれら別れてるんだぜ。いつまでも同じように好きでいると思うなよな。」




強く突き放すようにおれは言った。言ってしまった。美緒の顔を覗き込んだ、どうせまたふざけてからかったりするんだろ。












おれの目に映ったのは美緒の泣き顔だった。









「バカ、さっきも言ったよね。どうして今日私が陸を呼んだかわかる?」



「だから知らねぇって、そういうの迷惑だってなんでわかんねぇんだよ」



「私は...」



そう言いかけたところにトークの通知音が鳴った。送信者は透だ。





『今日はありがとな陸!あれから朱音ちゃんとダーツバーとか連れ回されてこれからさらにカラオケに連れてかれるんだけど...』



ああ、そういや透は朱音さんに引っ張られるように連行されたんだよな。



『そういや未紗ちゃんからもトーク来てんだけど、陸ちゃんと未紗ちゃん送ったのか?』


とりあえず美緒を無視して透に返信を返す。





『一応駅の改札まではちゃんと送ったよ。帰ろうとしたら美緒に呼ばれて今あいつん家にいるとこ』



『え、マジで!?

美緒のやつ何考えてんだか知らねぇけどそれ未紗ちゃんに見られたらヤバいんじゃねぇの?』



『さすがにそれはねぇだろ、とりま朝すぐに出るつもり。そうすりゃ高校の奴らにもそんなに出くわさないだろうし』




『わかんねぇよ陸。

未紗ちゃんに見られる可能性はあるだろ、美緒と最寄りの駅一緒のはずだし』








...ん?

未紗さんが美緒と最寄りが一緒?









え、マジで...








焦る気持ちでどうしようかと透に相談しようとしたところで美緒に抱きつかれてしまった。



「陸何私のこと無視してんの...」



「そりゃいきなり抱きつくようなヤバい人は無視に限るだろ」



「そうやっていつもいつも私のこと蔑ろにして、一目惚れしてきたのはそっちなのに。

私のことなんだと思ってるの」



「一目惚れしたのは確かだけど、いざ性格を知ったらヤバい人だったってのを感じた」




それは事実。

あんなこと起こさなきゃ今でも付き合ってるんだから間違いないと思う。




そう思った瞬間に...












美緒はおれにキスをしてきた。

そして






「もう一度私に惚れさせやる。他の女を醜い豚のように思うほど、私に一目惚れをしてきたあの時の情熱あった陸を思い出させてやる」





そう彼女は自分が来ている服を少しずつ脱ぎながらおれに再度キスをしてきた。








懐かしい匂いだ。

美緒が普段から付けてる香水の匂い。

下着姿になった美緒がおれに抱きついてくる。力を入れて抱きしめてくるから抜け出したりするのに手間がかかりそうだ。





「美緒、おれはもう...」



「分かってる、もう私のこと好きじゃないってのは。

図々しいのも、都合が良いのもそんなの最初から分かってるよ!」


















「それでも私は、陸が今でも好きだから...」







その言葉を、おれはずっと待ってたのかもしれない。

そう思いながら、渋々美緒を受け入れてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る