最後の冬

12月 今のあなたには。

もうすぐ、冬休みがやってくる。

 たった二週間。そう思えば短いけれど、悠さんと会えなくなってしまうのは寂しい。


 そんなことを思いながら屋上の扉を開けると、まだ悠さんはいなかった。

 めずらしい……。

 いつもは悠さんの方が先なのに。


 一人で空を見上げていると、足音が聞こえた。


「遅れた。すまない」

「全然大丈夫です。何か用事が……?」

「ああ。少しな」


 任されたってわけじゃ、ないよね。

 私が不安そうな顔をしていると、そんな私の表情を読み取ったのか『大丈夫』というように私の頭をなでてきた。


 至近距離でそんなことをされて、私の顔は言うまでもなく赤くなった。

 そんな私を見て、ふっと寂しそうに笑った彼。


 なんで、そんな顔をするんですか?

 そんな寂しそうな顔をしないでください。


 ――今のあなたには、きっと笑顔が似合うから。

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