第16話
「で、何のせいかも無しにのこのこかえってきたの?」
翌日の朝、開口一番に幼い少女であるガーナに言われて、二人はさすがにグサッと心に刺さった。
「い、一応いいところまでは行ったんだぞ。」
「まあ、結果宝も盗まれていたから惨敗だけどね~。」
気まずそうに言うノイとあっけらかんと結果を述べるサナを見て、ガーナは溜息を吐く。
「もー、大人なんだからしっかりしてよ!」
「ごめんねぇ。」
「………。」
少女に怒られ複雑な顔をする二人に「まあ、それよりもだ。」と船長が話し始める。
「とりあえず、成果が得られなかったからこれで領主のところからはクビか?」
「…まぁ、そう言われたな。」
「奥さんには、また来てって言われたけどね。」
そんな事言われてもいなかったノイはサナを見て言う。
「それお前だけだろ…。」
「あら、嫉妬してる?」
「うるさい。」
目の前の漫才を見ながら船長は「ふむ…。」とこめかみに手を伸ばし、考え事をしながら船長は質問を続ける。
「怪盗は…えっと、今日宝を奪いに来るって?」
「ああ、明日って言ってたからな。」
ええ、とサナもノイの言葉に続く。
「今までも、盗む時間帯は決まっていたみたいだから夜に来るんじゃないかしら?」
「なるほど、それで怪盗の特徴は?」
質問を受けてサナとノイは昨日の記憶を思い出しながら答えた。
「あの時は月の明かりと松明の火しかなくて、性別の判別は出来なかった…だが体は小柄な体型で服装は黒い服だったな。」
「信じられないけど幻覚の能力みたいなのを見せられたわ、低い男のような声だったけど、変声術の持ち主だったかもね。」
それと…とサナは言葉を付き足した。
「目隠しみたいなのしてなかった?」
「目隠し?」
正体を隠す為かもしれないが、本人はそれで暗闇も見えているのかと疑問になったので、サナは憶えていたと話す。
「ノイちゃん、憶えてる?」
あやふやな記憶を遡りながらノイは思い出した。
「そういえば、なんか、目玉みたいな模様が描いてあるものだったような…。」
「そうそう!」
船長はこめかみから手を放し、船長はその場にいる船員たちに告げた。
「お前らは俺以外の船員にその話をして今晩の怪盗対策をしてくれ、俺はちょっと外を回ってくる。」
「ふわ~。」
同時刻、家から出てきたマツリは、伸びと同時にあくびをしていた。
「さて、今日も一日頑張らないとな。」
そして家に戻り、一番海賊たちを見張るのに適した場所である屋根に登る。
「いい加減出て行ってくれないかな…。」
決して船との距離は近くない、しかしマツリには視えているようだ。
頬に両手を当て、いかにもつまらなさそうに様子を伺っていたマツリだが、ある変化を見つける。
「何か、いつも眠っている人が出てきた…。」
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