第14話

「灯り、消えたな。」

「…そうですね。」

 

光が消えたのにも関わらず、二人は動揺を見せずにゆっくりと周りの様子を窺っていた。

耳を澄ますと屋敷の遠くで、警備員達の騒ぐ声や命令を飛ばす領主の声が聞こえる。

「…こうしてみると、屋敷の中にいなくて良かったかもな。」

「ノイ、ちゃんと集中して下さい。」

「へいへい。」

二人はその場から動かずに、留まった。

少しの静寂が訪れても未だに明かりは点かないままだったが、時はすぐに来る。

「…ノイ。」

二人がいる位置から斜め前の所へノイが蹴りを入れる。

 

ドンッ!!

 

鈍い音が聞こえた。

「…何も見えないけれど、そこにいるんですね。」

「感触があったし、それにこの場所は俺達以外配置されていないはずだからな。」

二人が目には頼らず気配や音だけで人の存在を感知出来るのは、これまでの航海の時間で培われたものだった。

 

「姿を見せてくれないか、怪盗さん?」

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