ミツメ

@ahyiarnooyuki

第1話

「あ~あ、最近暇だなぁ…。」

屋根の上で寝転んでいる水色の髪が印象的でその額には赤いバンダナをしている少女がポツリと呟いた。

「…あ~煩いな。それは別だよ、べつ!」

独り言のはずなのに、まるで会話でもしてるような話し方だった、やがて。

「お…。」

その体を起こし海の方面を眺めて

「海賊船?」

と少し緊張しながら言った。

 

「じっちゃん!」

少女は急いで屋根から降りるとすぐにベッドにいる"じっちゃん"のところへ急いだ。

「じっちゃん!起きろ、じっちゃん!!」

「煩い、起きているし、聞こえてるわ!!」

と早朝からげんこつをくらった。

「いったぁ…まだこんな幼い子どもになんて酷い仕打ち。」

「要件はそれだけか?」

ならもう一度横になるとでも言いそうな大人に慌てて少女は告げる。

「いやいや、海賊船が来た!」

「本当か?嘘じゃねぇだろうな。」

「こんな人騒がせな嘘つかないよ。まだ水平線の辺りだから大丈夫だと思うけど…。」

「ふん、まぁいいだろう。」

ベッドから起き上がり"じっちゃん"はニヤリと笑った。

「しかし…相変わらずその目は役立つな。」

「うっさい。」

少しむきになって少女は答えた。

「好きじゃないよ…こんな目。」

 

「どうだ、見えるか?」

「うん…あ~やっぱりこっち向かってる。」

窓辺へ移動した二人は、海を見てその船が来ている事を互いに確認する。

「よし、皆に知らせてこい。」

「りょーかい。」

そう言うとマツリは島の皆に知らせる為、走って行った。

 

「さて…どうなる事やら。」

 

ここはナンチー島。

周り一面海ばかり、他の島は見当たらない。

しかし、比較的に平和な島だった。

そんなところにこの少女、マツリが住んでいた。

共に住んでいる"じっちゃん"はムマジというこの島一番の長寿な元気爺であった。

そのじじいと娘の二人暮らしで生活していた。先程のやり取りを見てもらったように二人は仲が良いので、楽しく喧しく暮らしていた。

そんな二人と島の住人達にちょっとした嵐が訪れる。

 

そう、海賊だ。

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