フールズ探偵事件簿

file-1 ミル夫妻宅の怪事件《1章-被害とその謎》

ミル夫妻。それはこの地域で1番の金持ちと言われる夫妻だった。 名は夫ガートン・ミル 妻アンナ・ミル。どちらも共に72歳で、共同経営していた会社から一線を退き、静かな老後を送っていた最中だった。

その老後を送っていたある日、事件は起きた。

事件当日、いつもはメイドに買い物に行かせるのだが、妻は自ら買い物に行った。

というのも、事件当日夫は誕生日で、夫自身も薄々勘づいて、止めることは出来なかった。

買い物から帰ってきた妻の叫び声がドアが開いた音と同士に響く。

それを聞いた夫が玄関に急ぐと、既に妻は刺されて血を出していた。

周囲を見渡すも、夫は何も分からず数秒立ち尽くした後、後ろから急に鈍器で殴られて倒れた。

夫は一命を取り留めたが、妻はそのまま亡くなった。 夫は生きてはいるものの事件から1ヶ月経った今も意識が戻らない。

この犯人も何も分からない事件を任されたのが、我々だ。




依頼から数時間、我々は現場に到着。

とても広い屋敷で、玄関を出ると二階へ繋がる階段と左右への別れ道がある。

二階は主にメイドの個室と物置として使われているようで、終活をしているのが感じられた。

夫が倒れていたのは右の別れ道の曲がり角で、夫は状況を見るに壁の裏から恐る恐る妻と玄関の様子を伺ったのだろう。

だがここでひとつ不可解なことがある。

警察の調べでは夫は周囲を確認し立ち尽くしたとあるが、なぜ犯人は玄関から来たのに、夫は"後ろから"、"鈍器"で殴られていたのだろう。

本来夫からすると玄関は前方に当たるはずなのに、夫は後ろから鈍器で殴られている。

それに、妻は刃物で刺されたのに、夫は鈍器で殴られている。

夫が辿り着くまでたった数十秒、刃物から鈍器に持ち変える意味が分からないし、夫も刃物で刺してしまえば今頃墓だっただろう。

なぜわざわざ夫を生かすようなことをしたのだろうか。さらに言えば、これは単独犯ではなく、2人以上の可能性が高い。その場合、最有力候補がメイド達だ。 この家にはメイドは10人いて、そのうち6人は外で別の買い物や、屋敷の掃除、休みを取っていた。

なので犯行を行えるとするならば残りの4人のメイド。そのメイド達の誰かが犯人だろうと睨んだ。

《第2章公開 21時から》

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