雨空が晴れたら

夏音

プロローグ

ねぇ、あの雨の日。二人ふざけて傘をひっくり返して

雨を集めたりしたっけ。

今思えば本当に子供っぽくって拙い遊びだったけど、空に向かって雨を集めた傘がまるでアンテナみたいで、こんなに近くにいても、なに一つ伝わらない私の気持ちも届けばいいのにって、そう、本気で思ってた。


傘の間を一粒の雨が頬に伝う。


その暖かさにフイに胸が苦しくなる。


泣き笑いになった私を、まだ子どもっぽさの残るあなたの、不思議そうな、それでいて心配そうな顔が覗き込む。


そう、だからあなたは…

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