死場通り門

成星一

プロローグ

※プロローグ


 夏休み。横浜のぼくのおうちに、おばあちゃんが遊びにきた。


「トモキちゃんも大きくなったね」


「もう小学四年生だもん!」


 ひさしぶりに会ったおばあちゃんは、とても元気そうだった。


「はい。おこづかい」


 そう言ってぼくにポチ袋をくれる。なかには千円札が一枚とお守りが入っていた。


「ところでお母さん、なにか食べたいものはある?」


 ママが聞くとおばあちゃんは答える。


「うーん、そうねえ。せっかくひさしぶりに横浜にきたんだから……」


 ということで、ぼくとママとおばあちゃんの三人で中華街にお昼ごはんを食べにいったんだ。


「ぼくの大好きな月餅げっぺい、おばあちゃんにも食べさせてあげる」


 なんてはりきって、はしゃいでいた。そのときはまだ、そこで待ち受ける恐怖に気づかずに……

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