私の中の大好きな先生たち
神稲 沙都琉
第1話
中学時代、学校もすごく荒れていて。
喧嘩はしょっちゅう。ガラスはたたき割る、下駄箱などの備品も引き倒す。
火災報知器は常時、鳴りっぱなし。
まともなものが何もない。そんな学校で。
とりあえず、真面目な学生を演じていました。一部の先生の前では。
大多数の先生の評価は『何を考えているやらさっぱりわからん』
自分でも『何を考えているか、全くわからん』のだから他人の先生では分らんのは当たり前(オイオイ)。
授業なんてまともにできない環境で、誰が真面目に授業を受けますか?
まぁ、一応進学希望なんで授業はでていましたが、嫌いな授業はある。
何をしていたかと言えば『イカサマポーカー』。お昼や放課後のおやつをかけてのポーカー。あまり勝ち続けるのもバレるので適当に負けて。
そして、ある日のこと。
英語の教科担任が続けてやめ、次がこない、なんて噂が流れていた頃。
S先生がやってきました。
『もの好きな奴やな。どうせ、すぐにやめるやろ』
なんてうちらの期待を大幅にそして斜め方向へ裏切った。
目には目を、歯には歯を的な指導で。
もちろん、体罰的なことは一切なく。
「授業が始まっとるのに、テキストは出さんのか。少し待つから出せ」
の指示も無視のうちらも悪かったのだが。
そう来るか!の攻撃に一同、唖然。
「無視するか?もう一度言う。出せ」
声色が変わったのが分ったけれど、うちらはやっぱり無視。
私はポーカーでもう少しで勝つところ、やめるわけには…。
「無視するか!」
の声とともに飛んできたのは教卓。私の机にクリーンヒット!賭けはご破算となりました。加えて、トランプも没収されました。ハイ。
「はい、授業できるな。ちゃんと座れ。テキストは机の上。始めるぞ」
この先生、修学旅行で京都に行ったとき外国人観光客に英語で会話。
「生で触れるいい機会だから、聞きたいことあるなら通訳してやる」、と。
「先生、凄いやん」
と言ったうちらに「英語の先生ぞ」。
確かに。
そして、I先生。美術の先生です。美術という授業でさえテストなどで点数をつける学校というシステムの中で唯一、点数をつけなかった先生。
「絵とかはな、気持ちで描くもの。
何が何点なんてありえない。
自分が思っているものを描く。
真剣にすればちゃんと評価する。
何事も真面目に取り組め」
という先生でした。
絵が下手だから嫌い、という私の絵に対して。
「いい絵だ。色使いもいいし、デザインの才能がある」
とはじめて褒められて。サボりがちではあったものの部活っぽいのもしました。
もうひとり、U先生。国語の先生。
色々あり、友人さえ作ろうとしなかった私に必死にかかわった先生。
「友達、作りなよ」
「嫌だ、面倒」
なんかもう、しつこいくらいに色々と話しかけてくる。
「かまうな」
と一言だけ、自分から言ったのがきっかけだったのか。
「今度、鍋するから食べにおいで」
と誘われて、渋々。
結果。楽しかったっすね。ホント。
ちょくちょく遊びに行くようになり、ときには母の手作りのオカヅを持って行ったり。
交換ノートなんてのもやりました。
思ってること、何でもいいから。
必ず、返事は書くからと。
私は素っ気なく
書かないから。
と返したものの、ほぼ真面目に。
難しい内容でも先生は
ちょっと待って。調べてからね。
と返事を。
誰も信用しない。誰にも関わらない。関われば面倒ごとしかおきない。
だから、友人なんてごめん被る。かまわないで。
そんな私の思いを知ってか知らずか。
あの手この手で懐柔して。
気づいたら。
友人もできて。U先生経由だったのか、友人経由だったのかは今となっては分らないけれど、同人誌までするようになり。
U先生、いなかったら自分はどうなっていたのか、なんて考えるけれど。
それはまた、IFのはなし。
私の中の大好きな先生たち 神稲 沙都琉 @satoru-y
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