短編小説集

よいお年を

おはよう、今日から１２月やね…

　　　　　　　あ、そっか　一年って早いね

花奈、よいお年を

　　　　　　　…なに急に、早すぎるでしょ

え？別に早すぎへんよ？

　　いやいや、それ年明け直前の挨拶じゃん

今じゃダメなん？

　　ダメってことは無いと思うけど…ほら、

｢年内最後のお別れの際に使うのが一般的｣

　　　　　　　　　　って書いてあるでしょ

やって、残り少ないですが最後まで

悔いなくよいお年をお過ごし下さい

って使い方やろ、ちゃうん

　　　　あとこたつ入ってゆく年くる年見て

　　あと数秒で終わる年の幸せ祈るのなに？

ちょっとでも幸せなほうがいいやん

　　　　　　…かなりそれっぽいけど違うよ

　　　来年もよいお年をお迎え下さい、だよ

んむぅ…それやとちょっとおかしいやん

　　　　　　　　　　　なんがおかしいんや

やってその挨拶って

｢あけましておめでとうございます｣の

後に付け加えることあらへんやろ？

　　　　　だって来年のよい年を願うんだし

次に来る年の幸せだったら

新年が来てから願っても遅うないやろ

　　　　　　　　　　　　　　…そうなの？

そうやそうや

あけましておめでとう、よいお年を！や

　　それなら意図は伝わりそうだけどさぁ…

　　えっ、じゃあどう言うのが正解なんだろ

毎日言えばええんや

　　　　　　　　　　　　はっ？まいにち？

おはよう、よいお年を～

　　　　　　　もう、わけわかんないじゃん

よい朝をー

よいお年をー

よい人生をー

　　　　　　　　　　　　　　　　何様なん