稲妻
レオノール・ブラックハウンド。レオノールの得意とする魔法、「雷」は電気を操る魔法だ。微弱で繊細な電気を巧みに操り、敵の探知や敵を避ける隠密行動を可能にすることに加え、「雷」の魔法は
(もっとだ……もっと速く!)
手数と火力は、確かな武器になる。それを応用し、伸ばしていけば強くなれるなんて事は、レオノールは理解している。その道に進めば、順当に強くなれる。研鑽を重ね、鍛錬を積み、魔法を究めれば、あの師すら超えるかもしれない。
(それじゃあ……ダメなんだ)
それは、向いていない。毎日毎日、手で砂を掬って山を造るような作業を、レオノールは好きになれない。それに、その道はもう満員だ。旭も、国綱もその道を今歩んでいる。
(俺は俺の道を往く)
自由気ままに、魔法と生きる。それが、レオノールの選んだ道。そしてレオノールが見出した、「雷」の魔法のもう1つの強み。それが、速さだ。
火力でも、手数でもない。「雷」は、光とほとんど同じスピードを持っている。その速さはおよそ時速30万km。もちろん、レオノールがそれと相応の
(……まだ、足りないっ!)
だが、レオノールはまだその領域に達していない。そもそもの
「でも、十分だ」
それでも、レオノールに追いつける人物など、ここには存在しない。数分と経たず、レオノールはエストレイラたちを捕捉した。チラリと視界に映ったそこには、先程まで国綱と戦闘していた
ただ、それだけの事にレオノールは疑問を抱く。いくら相手が手練の魔法使いといえど、レオノールよりも早くエストレイラたちに追いつくことは不可能だろう。どれだけ身体強化の魔法を積んだところで焼け石に水だ。
だというのに、目の前の現実はどうだろう。汗ひとつかくことなく、息切れもせず、
(……そういうことか)
レオノールは1つの仮説を立てる。ありえない話ではない、現実的に可能で、すべての辻褄が合う仮説だ。ほとんど正解に近い仮説に、レオノールも自信を持っていた。
(問題は、これをどうやって伝えるか……だな)
そしてレオノールがとったのは、最も合理的で手っ取り早い、レオノールらしい方法だった。雷による加速は止まり、今度はひたすらに電荷をためて帯電する。そして――
「”
雨は降っていない、雲ひとつない美しい夜空の空だというのに、古書館内には轟々と
「やっと見つけたぜ、可愛い姉ちゃんじゃねぇか! 敵じゃなけりゃ仲良くなりてェくらいだ!」
「次から次へと……!」
そして、その音の元へ集うのは強者たち。合図の意図に気づいて集まり始める。
(アステシア先生が来るまで)
(
レオノールと
(こいつはここに釘付けにする!)
(それまでが、私の
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