禁断症状と修羅場?

「手。震えてるけど大丈夫?」

「死にそう」


何を隠そう、私は今現在スキンシップ禁止令が発令されているのだ。まだ2日目だけど既に禁断症状が出始めている!

確かにやりすぎたかもしれないけどさ!こんなの拷問だよね!?恋人なのにスキンシップダメって何さ!なし崩し的に付き合い始めてるのは理解してるけどさ!あんまりだよぉぉぉ!


「柚希って胸大きいよね」

「急に何、羨ましいの?」


この際親友の胸を揉みしだいて耐え忍ぶのもありだね。無駄にデカいし、揉んでくださいと言わんばかりの大きさだよ、これは。全くけしからん胸だ。ぐへへ


「手をワキワキさせながら近づいてくるのやめてくれない?」

「これはしょうがないことなんだよ、うん。しょうがない」


っ!何……この感触……!指が埋まっていくっ!一生揉んでられるわこれ。永久機関はここにあったんだ。


「何してるんですか?」

「あちゃー、あんた終わったよ。ご愁傷さま」


そう言って親友はスタコラサッサとどこかへ消えていった。

問題は……こっちである。


「何してるんですかと聞いているんですけど?貴女には恋人が居るはずなのに違う女の胸を揉んでいるのですか?」

「いやぁ、あのね?ちょっと誤解があって……」


まずいまずいまずい!誤解なんてないよ!?ただ単に欲に負けて胸揉んでるだけだし!どうしよ……


「へぇ、誤解ですか。ぜひ聞きたいですね。一体どんな誤解があるというのか」

「こ、琥珀?少し落ち着こう?」

「いえいえ、私はこれでもかってくらい冷静ですよ?ええ、とってもね?」


確かにこれは終わった。このままでは付き合って3日で浮気した最低な女としての烙印を押されてしまう!どうにか挽回を……


「あれはね?そう!親友として胸のサイズを確認してて」

「へぇ?親友にもなると楽しそうに、そして幸せそうに胸を揉みながらサイズを確認する様になるんですね?初めて知りましたよ」

「いや、あの……幸せそうにと言うか、少しだけ、そう!ほんの少し人肌が恋しかったからそう見えたのかな〜って」

「ああ、人肌恋しいんですか。確かにそうですね。私みたいな恋人なのにスキンシップ禁止するような奴のせいで人肌恋しくなるのは仕方がない事ですもんね」


……なんだか雲行きが怪しいぞぉ?


「だいたい長い間ずっと私を想ってくれるような人に対してスキンシップ禁止なんて事をするなんて私が愚かだったんです。自分が恥ずかしいからという理由だけでわがままを言ってしまったがためにこんな浮気まがいの事をされてるんです。全ては自分で招いた結果で……全部私が…私が……」


私は咄嗟に琥珀を抱き寄せた。あんな表情をさせてしまうなんて彼女失格だ。自分が100悪いのだから琥珀が負い目を感じる必要は無いのだ。


「っ……スキンシップは禁止のはずですよ……」

「約束破ってごめん。でも耐えられなかったや。このまま抱きしめてていいよね」


ふふ、禁止だって言う割にはしっかり抱きしめてくるじゃん。可愛いやつめ。……うわ、上目遣いヤバ、ちょーキスしたい


「……本当に面倒臭い女ですよね、私。強がって迷惑かけて、勝手に傷ついて…でも、捨てないで…欲しいです」

「心外だなぁ。琥珀のこと捨てるわけないじゃん!初めて出来た最愛の恋人なんだから。どんな所も大好きだよ?」

「私も大好き…です」


大好き頂きましたぁぁぁ!いつ言って貰えるかって思ってたけど予想より圧倒的に早く言って貰えたぁぁぁ!これはもうあれだよね?キスしていい雰囲気だよね!?


「ねぇ、キス。していいよね」

「それは、ダメです」

「え?」

「え?」

「いや!なんで!?今めっちゃいい雰囲気だったよね!?素晴らしいムードだったよ!お互いの愛を確認しあってそのままキスする流れだったじゃぁぁん!」


なぜ!どうして!もしや焦らしプレイ!無理!焦らされるのは無理だよ!焦らす側ならいいけど!


「なんでって言われましても……ここ教室ですし、その、みんな見てます…///」


あ、可愛。え、可愛。今すぐお持ち帰っていいですか?いや、むしろこれは持ち帰らないと失礼だよね


「よし、一緒に早退しよっか」

「いや、ダメですよ?」


むむむ、かくなる上は!


「じゃあこのままスキンシップ禁止、あと……5日だっけ?続けよっか。雰囲気的にもう解除かなぁって思ってたけどどうやら違ったみたいだしね?」

「え、嫌です……解除します!」

「でも、私が誘ってるのに断るってことはそういうことでしょ?今一緒に早退すれば家でたくさんイチャつけるのにさ?私はお互いが触れ合いたい気持ちが大きいと思って言ったけど断るってことは別にそんな機会要らないってことだもんね?」

「なっ、でも、さすがに早退は……」


行けそう、やっぱりゴリ押しが最強。あとひと押しって所かな。夢のイチャイチャタイムのために!許せ!


「ほら?言ってご覧よ。私とイチャイチャしたいので一緒に早退しますって。嫌なら……しばらくお触り無しだよ?」

「っ〜〜〜〜!分かりましたよ!早退します!」

「よし、行こっか♡」


勝った……この戦いに。そして始めようか、素晴らしい時間を!今宵、愛を知ることになるだろう。

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