現実はラブコメの様に上手くいかない！〜拒絶強めな彼女を私が堕とすまでとそれからのお話〜

始まりの物語

始まりはいつも告白から

処女作公開！なろうでも公開中！

不定期更新

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「私ね、好きな人出来た」

「ふーん。」

「…え？それだけ？もっとなんかない訳！？」

たった今、私は親友にとんでもない事を言った…はずなんだけど…。

「いや、だって最近ずっと恋人欲しぃぃーーって鬱陶しかったし、出来ててもおかしくないじゃん？」

「それにしたって淡白すぎでは？」

「そんなことないけど？これから恋愛相談なのか愚痴なのか惚気なのかわかんないような話ばっかりされるのかと思うと憂鬱だなぁって思ってるよ？」

ひどい、酷すぎる。確かに、そんな未来が訪れるのはほぼ確定なんだけど。だとしても親友としてもう少しなんかないのかねぇ。

「そんで？相手は誰なわけ？サッカー部のエース？バスケ部の先輩？よくわかんないイケメン？」

「いやいや〜そんな人たちじゃないよ〜。お相手はねぇあそこの席に座ってるあの子」

「……は？冗談？」

「え？ガチだけど？」

何言ってるんだろうかこの人は。冗談でも嘘の好きな人なんて言わないのに。

「いや、だって…あの子、女・の・子・じゃん」

「うん？そうだけど…それが何？」

「え？いやいや…え？…あんたって百合っ子なの？」

「あ〜そゆことね、そうだけど…もしかしてそういうの受け入れないタイプだったり…？」

だとしたらかなり悲しい、立ち直れないかもしれないレベルである。確かに今まで誰にも恋愛対象が女の子な事は言ってなかったけど。こういう反応になるのか…。

「いやいや！むしろ最高というか尊いというか！いや、マジかぁ！とりあえずありがと。頑張ってね、まじで、主に私のために」

「…あ、うん、いやまあ頑張るけどさ、なんか思ってた反応と違うなぁ。そういうの好きなんだね」

私の知らない親友の一面を知ってかなりびっくりしているんだけども…ともかく！私は必ず幸せを掴んで青春を謳歌してみせる！

「それでそれで？アピールとかしてるの？」

「うん！告ったよ！」

そう、何を隠そう、既に告白しているのです。思い立ったら即行動がモットーだからね。

「え？はや。…結果は？」

「振られた」

そしてなんとしっかり振られているのですねぇこれが。泣きそう。

「…どんまい」

「いやいや！まだこれからだから！告白は導入なんだよ！女の子同士でただでさえ意識してもらいにくいんだからこれからのアピールが分かりやすくなっていい感じになるんだよ！」

「めっちゃ早口じゃん。…てかいつ告ったワケ？」

「1週間前」

「え？そんな前なの？じゃあ既にアピールしてる感じ？」

「もちろん！今はね、拒絶期って感じかな」

そう、既に告って1週間。それから毎日絡みに行ってるんだけど、無視されるか拒否られるかのどちらかなのである。ほんとに泣きそう。心折れそう。

「いや、脈ナシの中でも最上位じゃん」

「うん！もう泣きそうだよね！」

「…ちなみに拒否ってどんな感じなわけ？」

「えへへ、聞きたいんだ。良いよ、聞かせてあげる。まずね！登校時に通学路に待ち伏せして一緒に登校してるんだけどね、私を見た瞬間めっちゃ嫌そうな顔するの…」

「…いや、自業自得でしょ。ストーカーじゃん」

「それでね、お昼ご飯一緒に食べよー！って言ったらね、(無理です）って言われるの」

「嫌ですじゃなくて無理なんだね」

「他にも色々あるけど何か目から生理食塩水が出てきたから終わりにするね？」

ほんとに、このまま病んでもいい気がしてきた。泣きそう…てか泣いてた。

「…ほんとに、なんて言うか…どんまい」

「同情するなら愛をくれ」

「無理。自分で掴み取りな」

「掴み取れたら苦労してないっての」

本当にどうしたものか。今のところ飴と鞭で言う鞭しか貰っていない。ほんとにそろそろ飴が欲しい。切実に。希望が見えないとやってられないレベルである。

「ちょっと飴貰いに凸してくるね」

「いやどゆこと」

って事で飴を貰うために直談判することにした。

「ねぇ、そろそろ、飴ちょうだい？」

「は？飴なんて持ってませんけど」

「そういう事じゃ無くてさ！もっと私に希望を持たせてくれって事！お願いだよぉ！泣いちゃうから！ほんとにちょっとでいいから！先っちょだけ！先っちょだけだからぁ！」

「なんの先っちょですか…貴方に希望なんて無いんですから諦めては？」

辛辣である。でもこれが通常運転なんだなぁ！もう少し優しくしてくれぇ！私の豆腐メンタルが砕け散るからぁ！

「そっちがその気なら…こっちにだって考えがあるんだよ…？」

「はぁ、そうですか。それで？その考えとやらは？」

「ここで土下座する」

「は？」

「選びなよ、私が土下座してクラス中の人の視線を集めるのか、私に希望を与えるのか」

「貴方にプライドってものは無いのですか」

「そんなくだらないものは投げ捨てたよ」

プライドなんて枷にしかならない事に私は気づいたんだ。なんでもいいからご褒美くれ。そのためなら雨上がりのグラウンドを走り回った直後の靴だって舐める。

「えぇ、どっちも最悪なんですが」

「さぁ、早くしなよ…あと1分で土下座するよ」

「はぁぁぁぁ…具体的に飴とやらは何をすればいいんですか？」

「なんでもいいよ？私が希望を持つような有益な情報でもいいし、身体的ご褒美でもいいし、耳が孕みそうになるくらい甘々なセリフを耳元で囁いてくれても良いよ？」

「…キモ」

グッ!精神的ダメージが大きい…！ガチトーンは傷つく…。

でもここで引いちゃダメだ…何としても回復を図らねば。

「…あまり広めないと言うなら情報をあげてもいいですけど…」

「是非お願いします」

「はぁ、私は過去に…女の子を好きになったことがあります。以上！質問等は受け付けません」

「…え？マジ？これ以上ない希望見えてきたんですけど」

「さぁ、要望にわざわざ応えてあげたんですからサッサと消えてください。ついでにもう話しかけてこないでくださいね」

「えへへ、それは無理かなぁ！」

「ウザイなぁ…」

ってな訳で素晴らしい情報を手に入れたので早速親友に報告する事にした。

「うーん、希望ある…かも知らないけど脈ナシである事に違いは無いな」

「大丈夫だよ！こういうカミングアウトがあった後は必ず進展があるから！」

「何それ、どこ情報よ」

「ラブコメだけど」

「…私からは何も言うまい。頑張れ」

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そんなこんなで3ヶ月後

「なんで何も進展してないの！！」

「いや、まあ、脈ナシだからでは？」

驚く程に何も変わっていないのである。なんで？ラブコメなら既にキスくらいしてるでしょ。してなかったとしてもお互いの距離感が相当近づいてる筈だよね？どうして！なんで！

「まあまあ、ここは良くも悪くも現実ってことよ、ラブコメで勉強なんてしてないでちゃんとリアルで経験積みな？」

「ぐぬぬぬ」

「全くこれだから恋愛弱者は…初恋を拗らせるのは自由だけど程々にね〜」

「ぐぬぬぬぬ」

何か！何かないの！？距離感がグッと縮まるイベントは！？

「おーい、スマンが誰か姫咲の家を知ってる奴は居ないか？風邪で休みだから誰かプリントを届けてやって欲しいんだが」

「ラブコメ展開来たぁぁぁ」

来た！ついに来た！どれだけ待ち望んだことか！風邪で休みの人にお見舞いに行く…こんなわかりやすいイベントは早々ない！

「先生！私知ってます！私が！この私が責任をもってそのプリントを届けます！」

「ああ、凄いやる気だな…まあ、知ってるならよろしく頼むな」

「勿論です！命に替えても必ずや届けます！」

きたきたきたきた！遂にイベント到来。これは勝った（？）

「で？なんであんたは家を知ってるの？」

「え？…そ、それは…その、別にある日こっそり後ろを付けて家を特定なんてしてないよ？ほんとだからね？たまたま知ってただけだから」

「…私は何も聞かなかった。うん、親友がストーカーだなんて知らないからね、うん」

親友が何か言ってるけど私の耳には届かなかった。待っててね、私の未来の恋人。