Love Letter【BL】
柊 奏汰
☆
初めて、手紙を書きます。
貴方がこの手紙を読んでいるということは、僕はちゃんと渡すことができたのでしょうね。
貴方にこの手紙を渡すとき、僕は、真っ直ぐに貴方の目を見る事が出来ていたでしょうか。
書き始めたばかりの今では、まだ分からないことです。
今回僕がこの手紙を書き記そうと思ったのは、今伝えたい事を、ちゃんと形として残しておきたかったからです。
もしこれが後で恥ずかしい遺品となってしまったとしても、僕が抱いている貴方への想いを記したかったのです。
僕達の出逢いは、正直言うと最悪でしたね。
覚えていますか?
僕は、今でも昨日のことのように、はっきりと思い出します。
初めて会った貴方は荒くれ者で乱暴で。
でもそれ以上に惹かれたのは、貴方の優しさと強さでした。
少しだけ、本音を話してもいいですか。
本当は、ずっと傍に居たかった。
そう願ってしまう僕は、狡い人間ですよね。
貴方と一緒に、貴方の隣で生きていられて、この数年の間、僕は本当に幸せでした。
貴方の前から消えてしまっても、ずっと、永遠に、貴方の事を想っています。
だからどうか、この先僕の事は気にせず忘れて、貴方は幸せになって。
そしていつか僕の元に来てまた逢えた時に、こんな人生だったと笑って教えて下さい。
それまでは静かに、貴方の事を見守っていることにします。
もっともっと、書きたいことはたくさんあるけれど、そろそろ時間みたいです。
後でいくらでも怒られますから。
先に行くこと、許して下さい。
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