SCP-0006-RYO - [データ削除済み]の嘆き

オブジェクトクラス: Keter


特別収容プロトコル:

SCP-0006-RYOは、サイト-[削除済み]の地下6階に設置された強化収容室に収容される。収容室は音を完全に遮断するために、複数層の防音素材と防振装置が施されている。また、SCP-0006-RYOとの接触は厳禁とし、定期的なメンテナンスは遠隔操作によって行う。音声による実験はO5の承認が必要であり、現場スタッフは収容室内に立ち入ることが禁止されている。SCP-0006-RYOが発する音声を直接聞くことは、最悪の事態を引き起こすため絶対に避けること。


説明:

SCP-0006-RYOは、[データ削除済み]地方の廃村で発見された、損傷した日本人形である。この人形は高さ約45cm、手彫りの木材で作られたもので、かつて精巧に彩色された顔立ちが、長年の風雨に晒されたために崩れている。人形の目は黒く塗り潰されており、口元は歪んで開いた状態になっている。


SCP-0006-RYOの異常性は、その周囲で不定期に発生する音声現象にある。この音声は、低く不気味な「泣き声」として記録されており、その音色は聞いた者の精神に強い影響を及ぼす。音声を聞いた者は、最初は漠然とした不安感を覚えるが、次第に自己の存在に疑問を抱き、最終的には強迫的に「自身が消えてしまう」という錯覚を抱くようになる。音声を長時間聞き続けると、最終的に暴力的かつ自己破壊的な行動を取ることが確認されている。


この効果は音声の強度に比例し、対象者が音声をどれだけ長く聞いたかによって、精神の崩壊速度が異なる。特に高周波成分を含む音声が被験者に与えるダメージは甚大であり、複数のケースで耳からの出血、視覚障害、記憶の消失が報告されている。最も深刻なケースでは、被験者が完全に無意識となり、自らの意思で体を破壊する行為に及んだ。


SCP-0006-RYOがどのようにしてこの異常な性質を持つに至ったかは不明であるが、発見された村はかつて大規模な災害で全滅したとの記録が残されている。また、村の住民の一部は、何らかの「儀式」に関与していたとの未確認情報がある。この儀式の詳細やその結果が、SCP-0006-RYOの異常性に関連している可能性があるが、現在のところ立証されていない。


補遺:

補遺0006-RYO-A: 発見経緯

SCP-0006-RYOは、[データ削除済み]地方にある廃村で、探索チームによって発見された。当時の報告によると、村は完全に荒廃しており、家屋や神社などの建造物は全て崩壊していた。探索チームが村の中心にある神社跡を調査していた際、強烈な泣き声が周囲に響き渡り、チームの一部メンバーが激しいパニック状態に陥った。この音声の発生源を追った結果、神社跡の地下に隠された箱の中からSCP-0006-RYOが発見された。


発見当時の映像記録には、泣き声が聞こえた直後に複数の隊員が錯乱し、仲間に襲いかかる様子が映されている。その後、財団エージェントが現場を封鎖し、SCP-0006-RYOを回収したが、回収作業中に複数のエージェントが自殺を図るという異常事態が発生した。この出来事を受け、財団はSCP-0006-RYOの徹底した収容と研究を開始した。


補遺0006-RYO-B: 実験ログ

実験0006-05

対象: D-9892

内容: SCP-0006-RYOの泣き声を30秒間聞かせる。

結果: D-9892は音声を聞いた直後に激しい震えを示し、その後「消えたい」という言葉を繰り返すようになった。2時間後、D-9892は自らの顔面を激しく叩き始め、制止を試みた警備員を攻撃した。実験は即座に中断され、D-9892は収容施設内で精神的ケアを受けているが、回復の兆しは見られていない。


実験0006-08

対象: D-5514

内容: SCP-0006-RYOの泣き声を10秒間聞かせる。

結果: D-5514は音声を聞いた直後に失禁し、その後自らの耳を塞いで「黙れ」と叫び始めた。D-5514は収容されている間、他者との接触を拒絶し続け、最終的に自殺を図った。


解説

SCP-0006-RYOは、その異常な音声により、聞いた者の精神を破壊する強力なKeterクラスオブジェクトである。その影響力の強さは、収容が難しいだけでなく、オブジェクトに接近するだけで職員に甚大なリスクを与えるため、財団は特別な措置を講じて収容を維持している。

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