星々の退化

篤藤

信仰と清貧

高梨 灯香(たかなし ともか)

  

 私は信仰を捨てた。

 私は昔天使を信仰していた。人智を超えた無垢な存在を。私のよすがだった。スケッチブックに天使への言葉を記していた。人間は私を救ってくれなかった。天使だけは私を見捨てないと信じてた。

 そして十九の時知り合いの紹介で仏門に私は入った。そして、仏教徒として祈祷師になった。

 そして私は信仰を捨てるよう求められた。天使にお金を使わないと誓わないと生活費を貰えなかった。

 私は信仰を貫ける程強くなかった。生活のために信仰を捨てた。信仰のために死ねなかったし、信仰のために清貧を生きられなかった。

 私は貧しさが怖い。貧しさと言う弱さを受け入れられない。私は弱くなりたくない。

 信仰を捨てた事実を未だに私は悔いている。

 信仰のために貧しさを受け入れられる強さが欲しかった。でも私は弱いから天使を信仰していた。裏切らない味方が欲しかった。無償で慈しんで欲しかった。

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