甘い毒でありたい。

ろーぐ

 私はあの人の、甘い毒でありたい。

 独善の薬よりも甘美で、仄暗い道へ誘うような危険な毒。

 

 徐々に私があの人に溶けだしていっては、私から離れられず。

 内臓を蝕んでいるのを知ってか知らずかの内に、居ても立っても居られずに。

 

 私を求め、自傷よりもましだと誤魔化せられる。

 

 人工甘味の薬より優しく、死の暗黒へ誘う縄より明るい。


 街灯に照らされた静かすぎる夜道を、二人で手を繋ぐような。

 

 そんな、甘い毒でありたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

甘い毒でありたい。 ろーぐ @rougue_story

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ