相思相愛
エリーの心は不安という名の言葉で包まれている
「レン」
「なんだよ?」
いつもどこか棘のあるような言葉を使うレンがわたくしにだけ優しく囁く。
「レン」
「だからなんだよ?」
優しい言葉だけだった元婚約者とは違う雑で裏表などない言葉遣い。
「わたくしのどこが好きなんですの?」
「はぁ?言葉にしねーとわかんねーのかよ?」
いつも欲しい言葉だけをくれるわけではないけれど。
「わたくし言葉も欲しいわがまま娘なんですの」
「ッチ…。俺はエリーのひたむきに努力する姿が気に入ってるんだよ」
わたくしは知っているからいいんですの。
「好きとは言ってくれないんですの?」
「…好きだっつーの。んな事分かりきってるだろーが」
その耳も顔も真っ赤にしながら、わたくしが求めるとちゃんと言ってくれる事を。
「わたくしもレンのことが大好きですわ」
「あ゛ぁ?んなこといきなり言うな…知ってる。」
レンがわたくしだけの為にこの世界に降りてきた。その事実だけがわたくしの心を満たしますのよ。
何度も何度もわたくしだけの為に行動してくれていたなんて知る前は、なぜこんなに愛されてるのかわからなかった。
「わたくしはわたくしの大切なものを勝手に触られることが嫌いなんですの」
「あぁ…最近俺の周りをチョロチョロしてた女がいたもんな」
わたくしはレンからの分かりにくい愛情を貰いすぎて、我儘になってしまったんですの。
「最近見ませんわね?」
「あたりめーだろ、エリーが嫌う奴を俺が近寄らせるわけねーだろ」
永遠にわたくしだけを愛してくれると言ったその言葉に縋るわたくしは周りから見ればとても滑稽な姿でしょうね。
「わたくしをもっと甘やかしてくださいませ」
「ハッツ…。これ以上何を求めるっつーんだよ」
わたくしだけのレン。
わたくしに恋して天から落ちてきたレン。
もっとわたくしを愛してくださいませね。
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