最終章

賽は投げられた




「神殿長…レントは…いえ。このお方は…」


国王がレントの記憶を見た後に神殿長へと問いかける。


「レントはある日神殿で祈りを捧げている私の元へと落ちてきました。」


神殿長は両目を瞑り、今まで感じていた違和感がなくなった為その日の事をハッキリと思い出していた。





レントはある日私の元へ女神が贈ってくださった尊い命であった。


私がいつもの様に女神様へと祈りを捧げていると、何処からか声が聞こえたのだ。



『人間。お前はこの声が聞こえるか?』


私はその声が何処から聞こえてきたのかわからず辺りを見回す私の仕草から、聞こえて居るとあたりをつけたのだろう…話を続けたのだ。


『この子は私の子だ。己の伴侶を見つけ、その世界へと落ちていったのだが、また幼すぎて伴侶の助け方を知らぬのだ。

このままではその子の精神が神落ちしてしまうのでお前に預ける。』


私はその声の主が女神様ではなく神だと気付き、その場に平伏しながら話を聞いていた。


『そやつの伴侶は学園に居る。好きな様に育てろ、ただし学園には連れてゆけ。そうすればわかる。


神の子として育てられても困るからこの記憶はある程度の封印させてもらう。神の子と認識していても自分の子供として育てられる様に。


だが…聖女がおかしな事をし出したらお前にはわかる様にする。

その場合にはこやつのこの世界での記憶を除き見る権利をやる。それを見てこいつを助けてやれ、お前らが記憶を見ればこいつも思い出すだろう。


これが最後だ、次はもうない。』


その言葉が終わるとともに何処からか男の赤ん坊が私の腕の中へと降りてきたのだ。


私はその子を自分の子として育てる事にしたのだ。


神の言っていた事は理解が出来なかったが、この子は伴侶の為にこの世界へ来たのだという事だけは理解が出来た。


私はその時が来るまでこの子を大事に育てる事にした。


そして昨日…レントが帰ってきた時、あり得ない事にこの子が私の結界に弾き飛ばされた。


何故だと思って居る時に声が聞こえ、私は全てをハッキリと思い出したのだ。



『人間。記憶の閲覧の許可する。こやつは魔女の伴侶にはせぬ、魔女を何とかしろ』


それを聞いたからここへと連れて来た。ワシ1人では何も出来ない…力を貸して欲しい。


そう言って神殿長は国王へと頭を下げたのだった。










俺は…。そうだった、そうだった!俺はエリーを!エリーを幸せにするためにこの世界に来たんだった!


俺は全てを思い出した。


この世界でエリーを幸せにする為に俺はこの世界へ降りて来たんだ!その為に何度もやり直してるんだ!


「…みてろよ聖女。俺がお前からエリーを引き離してやる」


今度こそ俺はエリーを手に入れてやる。


あんな王子にも渡せねぇ。


あいつは 俺のだ。俺だけの女だ。




















何て気分がいいのっ?ふふっ


乙女ゲームの世界に転生するなんてっ!


私は大人気乙女ゲーム『天から降りてきた俺はお前を救う』の主人公 リィルニー フラワー男爵令嬢に異世界転生してたの!


この乙女ゲームに出て来る男の子は第一王子、騎士団長息子、魔法士長息子、神殿長息子の4人だけなんだけど…とにかく顔がいいのよ!最高なの!


主人公は聖女なんだけど、国王と神殿長から無理矢理契約をさせられて自分の心を封印されちゃうの!

全く本当に酷いよね!?


まぁ、それはいいとしてぇー、私の推しの神殿長息子のレント!このキャラってめっちゃ難しくて、他のキャラクター全部クリアしてからじゃないと出てこないシークレットなのよ。


いるかな…?いなかったらやだなぁ…。ゲームみたいに何回もクリアとかないだろうしなぁ。


そう思ったらいたの!やったぁ!でも、レントって近づいたら逃げるし難しいんだよね…前世でもクリアできないまま死んじゃったし。


うーん。とりあえず、他の攻略者みんな攻略して逆ハーとかしてみちゃおっと!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る