小説家になるためにやってきた100の努力

ハカドルサボル

第1話 一つ目、自己啓発書、ビジネス書を読んだ

 18歳から12年間ずっと小説家、カテゴリー的には携帯小説家あるいはラノベ作家を目指して努力してきた。たぶん100を超える試行錯誤が生まれたはずである。しかし、努力のかいなく12年たった今でも小説家にはなれていない。


 時系列はばらばらだが、一つずつ、作者がやってきた努力を記載していく。一つ目は、自己啓発書、ビジネス書を読んだこと。


 きっかけは大学のゼミの先生が教えてくれた、カーネギーの『人を動かす』だった。それ以来、自己啓発書、ビジネス書を漁った。毎日100ページ以上読むを一年間ずっと続けた。かいあって、お金は貯まるは、彼女はできるは、幸せの絶頂。人生をハックした。


 そこで思った。


“小説よりも人生という名の現実ゲームの方が面白い”


 由々しき事態である。小説家を目指す私が、小説に飽きてしまった。


 特に、携帯小説家やラノベ作家を目指してたのに、12年たった今、まったく興味を失ってしまった。アニメをたくさん見たし、小説をたくさん読んだし、漫画だって1000冊は読んだ。もっと読んだかもしれない。なのに、なのに、なのに、飽きた。


 もうジャンプもワンピースと呪術くらいしか読んでいない。


 この世の理、小説よりも人生の方が面白い。現実は小説よりも奇なり、を地で行ってしまった。私のアイデンティティーは崩壊の一途を辿った。


 中学生や高校生の恋愛やファンタジーを書くより、現実の攻略を考える方が楽しくなった。剣と魔法の世界は、もう興味をなくし、株でどうやってお金を稼ごうか、副業でどうやって金持ちになろうか、そんなことばかり考えてしまう。


 小説家、卒業。一応、アマゾンの電子書籍で、アマチュアとして、自費出版し、アマチュア作家を名乗ってはいるが、やっぱり商業デビューするまで、続けた方が良いのだろうか?


 もう、ラノベ作家よりもビジネス書作家を目指した方が良いのではないか、葛藤している。


 小説家になる。この目標をかなえるために12年間、ずっと頑張ってきた。芥川賞のハンチバックの作者は20年以上、努力を続けていた。それに比べれば、12年の努力なんて、まったく、屁ほどの量なのかもしれない。現に、1年ほどスランプが続き、書けない時期があったし、一日1時間しか執筆していない。


 でも結果が出ていないということは、努力の“方向性”が間違っていたことになる。


 自己啓発、ビジネスの世界では“選択と集中”という言葉がある。センターピンを狙え! 要は、優先順位の高い目標を一つに絞り、時間とお金と労力を投下しなさい、ということだ。


 私は小説家になる夢に一点賭けした。そして、敗北した。もうプロになる気はない。でもカクヨムでお金は稼ぎたいし、趣味で小説を書きたい。


 本を出したい。でも、カテゴリー的に、携帯小説でもweb小説でもラノベでもないのかもしれない。それは自己啓発書かビジネス書か、はたまた自伝かもしれないし、ブログの要約かもしれない。


 とにかく、今の私は、小説家になる<株とブログでお金を稼ぐ、と副業で老後2000万円問題を解決するという方向性に流れたのである。


 小説は遅効性の知恵であるが、自己啓発書、ビジネス書は即効性の栄養ドリンクで読んだ瞬間、一日だけモチベーションを最高潮に高められる麻薬である。


 もう自己啓発書やビジネス書なしでは生きられない体になってしまった。365日、YouTubeで本の要約チャンネルやフェルミを見ている。自己啓発書、ビジネス書に月10万は使った時もあった。


 お金の本は100冊以上読んだ。結果は、資産60万円の小説家志望のニート誕生である。


 サラリーマンとして働いたら、負けかなと思っている※冗談


 でも、早く不労所得を手に入れて仕事とはおさらばな人生――FIREしたい。


 もちろん小説家になり、印税収入で、働かずに生きる方法はある。しかし、それは宝くじで一等を当てるくらい激難な選択肢でもある。


 小説は趣味で書くくらいがちょうど良いのかもしれない。ストレス発散になるし、頭は良くなるし、なおかつ、読者から感想をもらえば、手早く承認欲求を満たせる。最高のエンターテインメントだ。

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